チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年8月24日
焼身に関わったとしてレゴンのチベット人5人に懲役刑
2012年11月にはレゴン県だけでも11人が焼身抗議を行った。特にレゴン県ドワ郷では11月中に4人が焼身してる。4人とは11月7日にタムディン・ツォ(23)、12日にニンカル・タシ(24)、同じく12日にニンチャク・ブム(20)、22日にルンブム・ギェル(18)である。4人とも死亡している。そして、今回判明した焼身抗議に関係したとして刑を受けたチベット人5人の内4人はこのドワ郷出身者である。
8月12日付けRFA英語版によれば、2012年11月中に拘束され、今年2月に秘密裁判により刑を受けていた2人の消息が最近やっと伝えられたという。当局による情報封鎖により、情報が伝わるのが遅れたと思われる。
青海省黄南チベット族自治州の中級人民法院は2013年2月8日、ドワ郷出身のアク・ギャタック(63)に対し「分裂主義煽動」の罪で4年の懲役刑、2年の政治的権利剥奪を言い渡した。
現地からの報告によれば、彼はドワ郷を視察に来た役人への態度を理由に罰せられたという。「(2012年)11月11日、州、県、地域レベルの中国人役人が焼身やその他の抗議活動の実体を調べるためにドワ郷に来た。その時アク・ギャタックは彼らに対する不満を表明した」という。
さらに、彼は焼身後の抗議デモの煽動者とされ、「焼身者の家族に悲しみを伝え、香典を差し出した」ことを白状したとされる。
同じく今年2月初めに同法院はドルジェと呼ばれる中学校生徒に2年半の刑を言い渡した。スイス在住のチベット人ソナムが伝えるところによれば、「ドルジェは2012年11月に焼身後の抗議デモに参加したとして他の大勢のチベット人と共に拘束された」。そして特に彼は「デモの最中、チベット独立のスローガンを叫び、また、『チベットの伝統保持者』という組織を立ち上げた」とされた。
2人とも現在西寧の刑務所に収監されているという。
8月20日付けTibet Timesチベット語版その他によれば、去年11月中に拘束されていたドワ郷出身の僧俗若者3人に焼身に関わったとして、黄南チベット族自治州中級人民法院が最近、秘密裁判によりそれぞれ2年の刑を宣告したことが判明した。
焼身を唆したとして、レゴン・ロンウォ僧院僧侶ツォンドゥ・チュデン(19)に2年の刑。チベット独立を叫び、中国国旗を下ろしたとしてラモ(20)に2年の刑。同じくチベット独立を叫んだとしてドンゲ・サンメ家の17歳の学校生徒(氏名不明)に2年の刑。彼ら3人は現在西寧の刑務所に収監されているという。
その他、ドワ郷カルキャ村出身のスブム(18)と呼ばれる若者がチベット独立を叫び、また焼身者のバイクに前日ガソリンを入れたとして、同じく西寧の刑務所に収監されながら刑の宣告を待っているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)