チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年7月26日
カンゼの峠で独立要求のビラが撒かれる
左の写真は2012年9月7日、カンゼ州ザチュカ県ウォンボ郷の小学校校庭に撒かれていた「チベット独立要求」の紙切れ。
RFAによれば、今月22日、カンゼ州カンゼ県ラツェカ峠(དཀར་མཛེས་རྫོང་ལ་རྩེ་ཁ་)に大量のチベット独立要求のビラが撒かれているのが発見された。周辺には大勢の部隊が出動し、捜査が行われている。
ラツェカ峠はカンゼの東16キロの地点、ダンゴに通じる道の傍にある。この日はチベット暦6月15日に当たり、地域の慣習としてこの峠で吉祥を祈願するために焼香が行われ、ルンタ(祈りの紙切れ)が撒かれるという。政治的なビラもルンタに混じって撒かれたものと思われる。
ビラには「チベット独立」「ダライ・ラマ法王に長寿を」「チベット人はチベット国で平和に暮らし、漢人は中国で平和に暮らす」と書かれていたという。
ビラが見つかった後、当局は撒いた者を探すために、峠周辺の村々を捜査し、峠を通過する車両を止めて検問し、カンゼ市内のホテルや僧院、民家等も捜査しているという。
ビラが撒かれた日、車に乗った一団の僧侶が峠に現れたというが、彼らが撒いたのではないかと話す人もいるという。今のところ、ビラを撒いた人は特定されていない。
先の7月6日、ダライ・ラマ法王誕生日に部隊が誕生日を祝う人々に対し無差別発砲を行い、大勢の重軽傷者を出したタウはこの峠から数時間の場所である。
参照:7月25日付けRFA英語版 http://www.rfa.org/english/news/tibet/leaflet-07252013131450.html
同チベット語版 http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/khamlaytsen/kham-stringer/rangzen-pamphlet-distribute-in-kardze-07242013123832.html
同中国語版 http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/dz-07252013154443.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)