チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年7月21日
省境の村でチベット人が漢人に襲撃され重軽傷者多数
青海省(アムド)と甘粛省の省境が現在もチベット人居住区と漢人居住区の境であるという場所も多い。そんな場所では土地の境界線を巡る民族同士の争いが起る事があるらしい。
ダラムサラ在住のアリ・ギュルメが最近彼の出身地で起った事件について報告している。それによれば、7月17日、青海省海北チベット族自治州ドラ県アリ・ダクカル村(མདོ་ལ་རྫོང་གི་ཨ་རིག་བྲག་དཀར་སྡེ་བ་ 海北州祁连县峨堡镇白石崖村)のチベット人30人が、隣村である甘粛省メンリ県ツォメン村(民乐县南丰乡炒面庄村)の漢人たちが1人1000元で雇った暴力団(黒帮打手)約100人に襲われ17人が負傷、内3人は重体という。
アリ・ギュルメが言うには、この2つの村は村境(省境)を巡り、毎年夏になると衝突を繰り返して来たという。しかし、今回のように多くの負傷者が出たのは初めてとのこと。
今回襲われた30人のチベット人は村境を守るためにテントで暮らしていた人たち。漢人暴力団は先に釘等を埋め込んだこん棒を手に襲いかかったという。30人の内10人は逃げて無事であり、残る20人の内17人が負傷。14人が病院に運び込まれた。その内の3人は重体という。
ダクカル村の村長ラプテンは手足全てを折られ、サムドゥプとショオタンは頭と足に重傷を負い甘粛省タンエ市の大きな病院に搬送されたが、現在生命の危険もある重体という。
予てよりこのチベット人と漢人の村同士の争いがあることは分かっているのに、当局は見て見ぬ振り、仲裁に入る事は無かったという。
野蛮暴力国中国では地方政府が土地強制収用のために暴力団を雇うという話しはよく聞くが、今回のように村が他の村を襲わせるために暴力団を雇うということもあるということである。
今回の襲撃を行った漢人等が罰せられることはあるのであろうか?
参照:7月20日付けTibet Timesチベット語版 http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7927
7月20日付けTibet Expressチベット語版 http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/10875-2013-07-20-13-41-56
7月20日付けVOT中国語版 http://www.vot.org/cn/西藏祁连县藏人遭汉人群殴多人严重受伤/
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)