チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年7月18日
北京政府がチベットの焚書強化を宣言
中国共産党が、都合の悪い情報をネット等から片っ端に削除するのに熱心なことは周知のことである。例えば、「世界人権宣言」も中国では出版、提示禁止である。
チベットにおいても以前より、特にダライ・ラマ関連の出版物、歌、肖像は厳しい規制対象とされている。
昨日7月18日には、中央政府の国家違法出版物取り締まり局の責任者である李長江がチベットにおける「違法出版物」と「反革命煽動品」の取り締まりを強化せよとの訓示を発表した。
監視対象となるのは書籍、新聞、雑誌、パンフレット、テキストメッセージ、音・映像製品、TV・ラジオプログラム、ネット上の文章等であるという。中国はダライ・ラマ、亡命政府、その他人権NGO関連の出版物等を全て違法としている。
李長江はチベット人居住区の各地方自治体は中央政府の関係省庁と連絡を取りながら、厳しい調査、取り締まりを始めよと命令する。
国家違法出版物取り締まり局の発表によれば、2011年以降チベット自治区内だけで、132万点の「違法出版物、煽動アイテム」が押収されたという。
チベットではこれまでにも、多くの作家、芸術家、歌手等がチベットの真実を伝えたり、ダライ・ラマのことを語ったり、歌ったりしたことで逮捕されている。また、ダライ・ラマの法話のCDを持っていたとか携帯にダライ・ラマの肖像を入れていただけで逮捕された人もいる。
ダライ・ラマの肖像掲示が許可されたかなどという噂が立っていたが、北京政府はそれどころか、規制をもっと強化するぞという姿勢を明らかにしたと言うわけだ。
参照:7月17日付けRFAチベット語版 http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/China-to-intensify-crackdown-on-pro-Tibet-propaganda-07172013140903.html
7月18日付けphayul http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=33748&article=China+vows+to+intensify+crackdown+on+pro-Tibet+materials
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)