チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年7月13日
拷問により2人の僧侶が病院へ
チベット人が政治的理由で拘束されれば、ほぼ間違いなく拷問されるということは広く知られている。しかし、拷問の程度はそれぞれの地区によって差があるようだ。これはそれぞれの所轄警察署のボスの意向、性格に依るところが多いと言われている。そんな中、チベット自治区のチャムド地区は特にチベット人を激しく拷問することで知られている。
今月1日、チャムド地区ツァワ・パシュ県で中国共産党創立記念日の祝賀会の最中、ドンサル僧院僧侶ロプサン・ゲンドゥンが「ダライ・ラマ法王に長寿を!ダライ・ラマ法王のチベット帰還を!チベットに独立を!」と叫び、その場で警官に逮捕されたということは先のブログで報告した。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51794932.html
昨日7月12日付けでRFAがその続報を伝えている。それによれば、僧ロプサン・ゲンドゥンが逮捕された次の日、彼の僧坊仲間である僧テンジン・ティンレーが拘束された。そして、彼は尋問中に激しい拷問を受け、重体となったところで家族が呼ばれ、家族により病院に運び込まれた。彼は話しをすることもできず、食事をとることもできない状態という。家族はまた、毎日、県警察署へ報告に行くことを命令され、これを怠れば、家族も罰すると脅されているという。
デモを行った僧ロプサン・ゲンドゥンは現在刑務所に収監されていると言われるが、家族との面会は許されていない。あるチベット人は彼が病院に運ばれるところを見たという。彼によれば、その時僧ロプサンは自分で歩くこともできない状態であったと報告する。
現地の報告者によれば、7月1日以降、ツァワ・パシュ県ではチベット人の行動が厳しく監視され、ドンサル僧院では法要と僧侶の外出が禁止されているという。
参照:7月12日付けRFAチベット語版 http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/tenzin-trinley-detained-07122013171723.html
7月12日付けTibet Post 英語 http://www.thetibetpost.com/en/news/tibet/3533-china-arrests-two-monks-in-chamdho-county-tibet
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)