チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年6月18日
学生デモを先導したとして民族中学2年生に4年の刑
アムドでは「民族平等」「言語自由」を訴えた2010年秋のデモに続き、去年2012年の秋にも「チベットの自由」を訴える大規模な学生デモが何度か発生している。その中でも特に大きかったのは11月9日にレゴンで行われたデモである。このデモには様々な学校から数千人~1万人の学生が参加したと言われる。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51768757.html
参加者の中心はレゴンにある州立師範学校、民族高校、職業訓練校、県立民族中学校の生徒たち。学生たちは市内を行進しながらダライ・ラマの長寿を祈る「雪山に囲まれしこの浄土の 全ての福利と幸福の源 観音菩薩であられる大師テンジン・ギャンツォ(ダライ・ラマ法王)よ 濁世の終わりまで留まられますように」という詩句を唱えると共に、「民族平等」「チベットに自由を」「ダライ・ラマ法王のチベット帰還を」等のスローガンを叫んだ。
行進は最初、州と県の庁舎が並ぶロンウォ・ゲルタンの大通りを進んだ後、ロンウォ僧院前のドルマ広場に集結し、そこで集会を開いた。広場には一般のチベット人や他の学校の生徒たちも集まり、その数が膨れ上がった。
これに対し、当局は最初デモを放置したが、最後には大量の部隊を派遣し、暴力的に鎮圧、多くの学生が負傷した。また、多数の学生を拘束し、校長を首にしたりした。この時拘束された学生の内、多くはその後解放されたが、未だ行方不明の学生もいるという。
最近その内の1人に刑が確定したことが判明した。レゴン県中級人民法院が、この時のデモを先導したとしてレゴン県立民族中学校の生徒ワンチュク・ドルジェに4年の刑を言い渡した。裁判は秘密裏に行われ、判決の日時もはっきりとは分かっていない。
ワンチュク・ドルジェは青海省黄南チベット族自治州ツェコ県ニンシュル郷ロンポ村の出身。彼は逮捕されたときレゴン県立民族中学校の2年生であった。
参照:6月13日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7784
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)