チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年6月16日
焼身の写真を海外に流したとして教師に6年の刑
今年4月初めに、アムド、レゴン(レプコン、青海省黄南チベット族自治州同仁県)の中級人民法院は、教師ナムカ・ジャン(52)に焼身の写真を海外に流したとして6年の刑を言い渡した。
今年2月に政府系TVがチベット人焼身に関する番組を制作し国内外に放映したが、その中で「政府の給料をもらいながらも国家に反逆する者がいる」としてこのナムカ・ジャンのことを取り上げ、糾弾していた。
彼は刑務所に向かう時、家族からカタを渡されたが、その時、「自分は泥棒をしたり、横領とかをして刑務所に入れられるのではなく、民族のための仕事をして入れられるのだ。だから、みんなは何も恥ずかしく思ったり、悲しく思うことはない」と家族を慰めたという。
ナムカ・ジャンはレゴン、チャンキャ村の出身。彼は1980年に黄南民族師範学校を卒業し、その後30年間、各地の小学校の教師を勤め、最近休職していた。焼身関連で公務員に刑が与えられるのは彼が初めてという。
彼が海外に流したと言われる焼身はレゴンで起ったものというが、特定はされていない。
同じく焼身の映像や写真を外国に伝えているのだが、政府がプロパガンダ(嘘話)用に流すのはOK、チベット人がやればこのように重い刑を受ける。
参照:6月14日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/six-year-sentenced-to-namkha-jam-06132013142336.html
6月14日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7789
6月15日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/10717-2013-06-15-04-41-11
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)