チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年6月13日

中国外交官がチベット潜入レポートを発表したテレビ局とレポーターをマフィアスタイルで脅迫

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130613120704BJフランス人ジャーナリスト、シリル・パヤン

フランスのテレビ曲<FRANCE 24>のレポーター、シリル・パヤン(Cyril Payen)はラサに潜入取材し、「チベットの7日間」と題された貴重なビデオを発表した。このことは、すでに5月22日付け当ブログで報告した>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51790433.html

この時の映像は9分間にまとめられたものであったが、5月30日には16分のバージョンも発表されている。以下その長バージョン。

これらの映像が発表された後、中国当局はシリル・パヤンとFRANCE 24の本部に対し、脅迫を行った。これに対し国境なき記者団は、この脅迫を「マフィアまがいの脅迫」と表現し、強く非難している。

FRANCE 24はシリル・パヤンが「中国の外交官からマフィア・スタイルの脅迫を受けた」として以下のような報告を行っている。>http://www.france24.com/en/20130612-china-intimidates-france-24-reporter-over-tibet-film

5月30日に「チベットの7日間」が放映された後、在パリの中国大使館の職員がFRANCE 24の事務所に来て、ウェブ上のチャンネルを削除せよと要求した。

この要求はFRANCE 24の編集長Marc Saikaliにより断固拒否された。次に大使館側はバヤンにインタビューしたいと言ったが、彼はすでにベースとしているタイに帰った後なので不可能だと答えた。

パヤンがタイに到着してすぐに、中国大使館から携帯に電話が掛かり(テレビ局は彼の携帯番号を中国側に教えていない)、バンコクの中国大使館に出頭し彼の行動についての説明を行うようにと要求された。

パヤンは外交官に対し、ホテルで会うなら承諾しようと答えた。しかし、彼らは大使館でのインタビューに固執した。

月曜日に彼が大使館から受け取ったメッセージはあからさまな脅迫であった。パヤンは火曜日までに大使館に出頭しない場合は、その拒否の「責任を取ってもらう」と言い渡されたのだ。

「みんながどんなことがあっても中国大使館に行かないようにと助言していた。それは危険なことだと」パヤンは水曜日に語る。「フランスの外務省とFRANCE 24はこの件をフォローしてくれていた。しかし、私は緊張していた。夜1時間も眠る事ができなかった」

このような中国当局のやり方に対し、国境なき記者団は6月11日付けの記事において、「中国の外交官がフランスのジャーナリスト、シリル・パヤンを脅迫したことに対し激怒する」と書いている。>http://en.rsf.org/chine-chinese-diplomats-threaten-french-11-06-2013,44762.html

「このような受け入れ難き態度はマフィアの態度としてはあり得ようが、上級外交官の態度としてはあり得ないことだ」と述べ、「レポートに対して大使館が異議を申し立てることは受け入れられよう。しかし、フランスやタイに在住する外交官が報道の内容を変更させるように脅迫したり、ジャーナリストを脅迫したり、尋問するために呼び出すということは到底受け入れられないことである」と続ける。

「このようなやり方は、残念なことではあるが、中国では間違いなく当たり前のであろう。しかし、自由な国においてはあり得ないことだ。外交官がフランスのジャーナリストに対し電話で脅迫したことについては、違法である可能性がある」

「我々はフランス当局に対し、このような受け入れ難い脅迫を行ったことに対し、在パリの中国大使館の代表を呼び出し警告を与えることを要求する。フランス当局はフランスのジャーナリストに対し、このような好戦的な方法を用いたということと、報道の自由を犯しているということに対し中国政府を批難すべきである」としてフランス当局に対する要求も行っている。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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