チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年6月6日
VOAビデオ『雪の国の炎』
VOA(Voice of America)は6月5日付けでチベットの焼身抗議の現実と背景を伝える、1時間弱の『(英題)Fire in the Land of Snow (雪の国の炎)』と題された詳細なドキュメンタリービデオを発表した。これまでに、同種のビデオが亡命側、中国側ともに何本か発表されているが、今回のVOAのビデオがもっとも優れていると思われた。
背景説明においては1950年以降の共産軍による侵略を貴重なビデオとともに描く。また、焼身の背景説明や分析のためにチベットに関わる著名人のコメントがふんだんに挿入されている。
コメントを語っているのは米議会中国委員会のスティーブン・マーシャル、『1959年 ラサ』の著者李江琳、チベット人作家ツェリン・ウーセル、中国人作家王力雄、コロンビア大学教授ロバート・バーネット、チベット人作家ドゥンドゥップ・タシ、チベット人作家ジャミヤン・ノルブ、そしてキルティ・リンポチェである。その他、亡命側にいる焼身者の親族、友人に対するインタビューも含まれている。
背景を説明した後、何人かの焼身者にスポットを当て、その後ダライ・ラマ法王、亡命政府首相ロプサン・センゲのコメント、中国政府の反応、欧米諸国の反応を紹介している。
ビドオ最初のコメントはスティーブン・マーシャルによる「チベット人は今や、彼らができるもっとも強いやり方で、自らの命を捨てることにより、『自分と他の全てのチベット人は将来に渡り、中国の一部には決してならない』ということを宣言するに至ったのだ」と言うものである。
VOA映像>
http://www.voatibetanenglish.com/section/fire-in-the-land-of-snow-documentary/4125.html
YouTube 版>
http://www.youtube.com/watch?v=NmrJE4AF_Gs&feature=player_embedded
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)