チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年6月3日
焼身者の遺体を当局が奪うことを阻止し10年の刑
焼身、死亡した僧ロプサン・ゲンドゥン。
去年12月3日、ゴロ州ペマ県(མགོ་ལོག་པདྨ་རྫོང་)ペマの街中でペナク僧院の僧侶ロプサン・ゲンドゥン(བློ་བཟང་དགེ་འདུན་)が焼身抗議を行った。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51771640.html
彼はその場で死亡したが、その後、部隊とチベット人たちの間で遺体の奪い合いとなった。結局遺体はチベト人たちの手で僧院に運び込まれ、無事に法要が行われた。
その後、当局は遺体を奪ったとしてバシュル・ドルトゥク(ཝ་ཤུལ་རྡོར་ཕྲུག་57)を連行。彼はその後行方不明となっていた。最近明らかになったところによれば、彼は5月20日、成都の裁判所により10年の懲役刑、政治的権利剥奪6年を言い渡されたという。罪状は「焼身者の遺体を運ぶ事を妨害し、また2008年と2009年に抗議デモを行った」というものであった。
バシュル・ドルトゥクはゴロ州ペマ県の出身。妻の名はカルマ・キ。19歳になる娘と13歳になる息子がいる。彼は地域で人々に尊敬され、もめ事がある時にはいつも仲裁役となっていたという。
参照:6月3日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7746
5月31日付けVOT中国語版http://vot.org/cn/西藏班马县一藏人被中共非法判处10年徒刑/
6月3日付けTibet Post 英語版http://www.thetibetpost.com/en/news/tibet/3431-man-gets-10-year-jail-term-over-tibet-self-immolation
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)