チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年5月31日
またも秘密裁判で僧侶作家に懲役刑/ウォンポ僧院僧侶6人刑務所 3人依然行方不明
またも秘密裁判の末 僧侶作家に懲役刑
RFAによれば、今年3月11日に連行され、その後行方不明になっていたゴロ州ガデ県トンキャプ僧院の僧侶作家ティツン(ཁྲི་བཙུན།26歳、筆名ティプタク)に秘密裁判の末、刑期不明の懲役刑が科されていたことが判明した。
僧ツェツンは2012年1月8日に焼身、死亡した地域の高僧ソバ・リンポチェの伝記を著し、その出版記念会を僧院内で行った数日後に拘束されていた。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51784159.html
現地からの報告によれば、「1ヶ月ほど前にガデ県の警官が僧ツェツンの母親を訪ね、彼女に息子が懲役刑を受けたという書類を手渡した」という。その書類には刑期やどの刑務所に収監されているかについてはなにも書かれていなかった。「母親は警官に息子との面会を懇願したが、拒否された」という。
今月14日には同じく僧侶作家であるガルツェ・ジグメに5年の刑が言い渡されている。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51789838.html
参照:5月30日付けRFA英語版 http://www.rfa.org/english/news/tibet/sentenced-05302013165335.html
行方不明となっていたウォンポ僧院僧侶9人の内6人は刑務所に3人は依然行方不明
去年10月中に、カム、カンゼ州ザチュカ(セルシュ)県ウォンポ郷では2つの僧院の僧侶を中心に27人が拘束された。これは先の9月7日に学校の校庭にチベット国旗が掲げられ、周囲に「チベット独立」と書かれた紙切れが沢山撒かれていたという事件に関連する拘束であった。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51766101.html
拘束されたチベット人の多くはその後解放されたが、ウォンポ僧院(དབོན་པོ་དགོན།ガデン・シェドゥプ・ダルゲリン)の僧侶9人は最近になるまで行方不明のままであった。地域の人々が捜索し続けた結果、最近やっとその内の6人は四川省ロンダク県の刑務所に収監されていることが判明した。しかし、最年長者である47歳の僧チュダルを含む3人の行方は依然不明のままという。
参照:5月30日付けRFAチベット語版 http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/nine-monks-disappeared-05302013160600.html
5月29日付けTibet Post 英語版 http://www.thetibetpost.com/en/news/tibet/3427-missing-buddhist-monks-reportedly-in-chinese-prison-in-tibet
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)