チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年5月23日
焼身・死亡したツェリン・ドゥンドゥップの遺書が半年後に伝わる 鉱山開発に抗議
去年11月20日にアムド、サンチュ(བསང་ཆུ་རྫོང་甘粛省甘南チベット族自治州夏河県)アムチョク(ཨ་མཆོག་阿什合曲郷)ギャガル草原にあるゴン・ンゴン・ラリ金鉱山開発場の入り口付近で3児の父、ツェリン・ドゥンドゥップ(ཚེ་རིང་དོན་གྲུབ་)、34歳が焼身、その場で死亡した。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51770091.html
地域の人々はかねてより、この鉱山開発に反対していた。彼が焼身した場所も鉱山開発場の入り口であったことから、彼の焼身は鉱山開発に抗議する目的を含んでいたのではないかと思われていた。
彼は焼身前に遺書を残していた。その遺書が最近になりやっと亡命側に伝えられた。その中で彼は鉱山開発への抗議の言葉も記している。
左の写真が手書きの彼の遺書。
以下、その日本語訳。
ダライ・ラマ法王がチベットにお戻りになるべきだ。
ギャワ・カルマパはじめ全ての亡命者が内地に戻るべきだ。
パンチェン・リンポチェ(ゲンドゥン・チュキ・ニマ)はじめ全ての政治犯が解放されるべきだ。
チベットには自由が必要だ。
鉱物を掘り出すな。
チベットに独立を*。
*最後の「チベットに独立を」という字句は写真には写っていないが、書かれているらしく、これをタイプしたチベット語には含まれている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)