チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年5月19日
パンチェン・ラマ10世と11世の歌を歌う 6年の刑を受けたロロ
一昨日の5月17日はダライ・ラマ法王の認定したパンチェン・ラマ11世が中国当局により拉致されて18年目の記念日ということで、世界各地で圧政下にある内地チベット人への連帯とパンチェン・ラマ解放を訴えるイベントが行われた。
きょうは先代パンチェン・ラマ10世と失踪させられた11世のことを歌った1つの歌を紹介する。
この歌を歌ったジェクンド州ティンドゥ県出身の人気歌手ロロ(30)は今年2月23日に政治的歌を歌ったとして6年の刑を受けた。この歌の歌詞を書いたニンツォ・シルカル僧院僧侶ロプサン・ジンパもロロと共に5年の刑を受けた。
参照:http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51741792.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51783535.html
以下歌詞の日本語試訳:
パンチェンよ
静かで堂々とした白き雪山の如き
積み重ねられた歴史の石柱のその最後に
チベットへの途絶えることのない温かい愛を示された
チベットの勇者パンチェン・ラマに栄光を
全てを覆い尽くす残酷な熱い力の下から
聖俗二つの石により打たれた傷口から
忠誠心の快い歌のようなスローガンを空に響かせる
遅れた者たちに立ち向かう菩薩
間違った因果の法に従う盗賊たち
虚偽と弾圧の闘いの中から
真理を守るために命を捧げた
21世紀への使者はあなたをおいていない
悲しげな月のおもてが西の丘の向こうに消え去ろうと
涙とともにあなたの転生者を待ちわびたが
新たな日の夜明けも敵の暗闇により連れ去られた
そして 雪国チベットの人々の心はさらに冷えきった
参照:5月17日付けTCHRDリリース http://www.tchrd.org/2013/05/three-lives-and-a-song-disappearance-of-panchen-lama-4/
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)