チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年4月17日
学生デモ参加者8人に実刑判決
去年11月には1ヶ月の間に28人が焼身抗議を行った。そんな中でアムドでは大規模な学生デモが何度か発生している。11月26日にはチャプチャ(青海省海南チベット族自治州共和県共和)の衛生学校の生徒1000人以上が街に繰り出し、中国政府のチベット政策に抗議する平和的大規模デモを行った。
これに対し、当局は部隊を派遣し、デモが始まり2時間後には学生たちの行進を阻止し、催涙弾を発射し、威嚇発砲も行い、激しい暴力を加えた。その結果多くの学生が負傷した。負傷者の内20人ほどが病院に運ばれ、この内重傷者4人が緊急治療を受けた。
学生たちは「民族平等、民族自由、言語平等、政権交代」等を訴えるスローガンを叫んだ。また、学生たちはその前日、共産党宣伝部が「民族の言語を学んだり、民族の権利や自由を求めたり、焼身などの行為は愚かでばかばかしい選択である」などという10項目の諷刺と侮辱が書かれパンフレットを学校等に撒いたことに反発し、これがきっかけとなってデモが起ったと言われている。
そして、今月10日にはこのときに拘束され、その後行方不明となっていた学生の内8人に刑が言い渡された。今日付けの中国政府公式サイトであるChina’s Tibet website(http://ti.tibet3.com/news/tibet/qh/2013-04/17/content_457369.htm)によれば、グンホ県の中級人民法院は4月10日に公開裁判を開き、2012年11月26日に「違法なデモを行い、社会の安定を脅かした」チャプチャ衛生学校の生徒8人への刑を確定したという。
サンゲ・ブム(སངས་རྒྱས་འབུམ་)に4年、クンサン・ブム(ཀུན་བཟང་འབུམ་)、ラテン(ལྷ་བརྟན་)、ジャンパ・ツェリン(བྱམས་པ་ཚེ་རིང་)の3人に3年半、ワンギェル・ツェリン(དབང་རྒྱལ་ཚེ་རིང་)、チュキョン・キャプ(ཆོས་སྐྱོང་སྐྱབས་)の2人に3年3ヶ月。その他2人については先の記事には書かれていないが、TCHRDによればこの2人には3年半の刑、VOTによれば3年の刑が確定したという。裁判には100人以上の生徒、各学校の教師が傍聴したとされる。
TCHRDによれば、このデモの際、拘束された生徒のうち、今も行方不明のままとなっている者もいるという。記事には年齢が書かれていないが、本当に実刑を受ける年齢に達していたのかどうか気になるところである。
参照:17日付けTCHRDリリース:http://www.tchrd.org/2013/04/chabcha-student-protesters-sentenced-up-to-four-years/
17日付けVOT中国語版:http://vot.org/cn/?p=24567&lang=zh-tw
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)