チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年4月12日
マチュで「チベット人に職を与えよ」デモ
昨日4月11日、アムド、マチュ(ཨ་མདོ་རྨ་ཆུ་རྫོང་甘粛省甘南チベット族自治州玛曲县)の政府庁舎前で数十人のチベット人大学、専門学校卒業生が横断幕を掲げ「就職問題解決」を要求した。彼らはこれに先立ち、マチュ県の各地に要求書を張り出していた。
彼らは卒業してすでに何年も経つが、いくら申請しても政府の定職を得る事ができないという。その理由として、「政府は地元の学生の採用枠を狭め、上級の役人たちはコネのある他の地方からの漢人の採用を増やしている。採用試験は中国語ばかりであり、チベット語専門試験は全く無い」等を上げている。
横断幕にはチベット語と中国語で「外地の学生を採用せず、地元の学生を採用せよ」と書かれている。
要求は政府自体に対するというより、市民へその窮状を訴え、支援を求めるという形で行われ、この要求はまったく政治的なものではないと断られている。
チベット内にチベット族自治州と名付けられた地域は多いが、それら地方政府の実体は、他の地域から来た漢人ばかりが職を得てチベット人は疎外され、職員採用試験も中国語ばかりで、地元の学生にとっては職を得るのも狭き門であるという現実が浮き彫りになったというわけだ。
参照:11日付けTibet Times チベット語版 http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7557
11日付けRFA中国語版 http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/dz-04112013143947.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)