チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年4月5日
ジェクンド:強制取り壊しに抗議し焼身
昨日のブログで「ジェクンドで1000戸以上のチベット人住居が突然強制的に取り壊される」というニュースを報告したが、同じくRFAが今度はこの強制取り壊しの現場で1人のチベット人女性が焼身抗議を行ったと伝えた。
事件が起ったのは先週とされ、女性の名前も今のところンゴドゥップと呼ばれるチベット人の義理の娘としか分かっていない。とにかくその女性は自分の家を壊すためにチームが到着した時に、その前で焼身を計ったという。しかし、回りにいた人々がすぐに火を消し止め、火傷は負ったものの命に別状はない状態という。この情報が確かなものであるならば、彼女は内地115人目の焼身抗議者ということになる。また、ジェクンドの土地強制収用に関係した焼身抗議としては3人目となる。
同じ記事の中にはもう1人ゴゲと呼ばれるチベット人男性が、同じく家屋の取り壊しに抗議するために焼身を行うと宣言したという。実際にどうなったかは今のところ不明である。
この情報を伝えた現地チベット人は被災地に新しく建てられる建物を比べ、中国の役人用に建てられる建物と現地チベット人のために建てられる建物のあまりの違いに驚くという。「中国人役人の住宅は広くて、しっかりと作られ、明らかに上等だ。それに比べ、一般チベット人のために作られる建物は作られて一年半も経てばもう修理しなければ住めないような白物だ。地元のチベット人たちはいつも家の作りの酷さに不満を漏らしている」という。
参照:4日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/woman-04042013142814.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)