チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年4月4日
ジェクンドで1000戸以上のチベット人住居が突然強制的に取り壊される
2010年4月、大地震に見舞われ、街がほぼ壊滅状態になったジェクンド(ケグド、ユシュ、玉樹)では、その後も復興事業は遅々として進まず、3年経った今もテント生活を強いられている人もいる。また、所謂エコ観光都市計画に伴う土地強制収用が至る所で行われ、これに反対するデモも起こり、また土地強制収用に抗議する焼身がこれまでに2件発生している。
そんなジェクンドで最近また大規模な強制取り壊しが行われた。4月3日付けRFAチベット語版によれば、最近当局はジェクンドのある地区に突然大勢の武装警官や警官を派遣し、住民を追い出し、家屋の取り壊しを始めたという。住民たちは前もって通知を受けていたわけではなく、突然のことに、家財を持ち出す間もなく取り壊しが始まった。その数は1000戸以上に及ぶという。
それら家屋のほとんどは地震以前に自分たちが金を払い購入した土地であり、地震後、政府が新しい家を提供するということもなかったので、再び自分たちが金を出して自分たちの土地の上に建て替えた家であるという。
突然のことであり、住民たちは他に行くところもなく、またテントを立てることも許されないというので、途方にくれているという。
当局は彼らの戸籍はジェクンド内ではないので、ジェクンド市内に家を建てる権利はない、と主張しているという。
参照:3日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/1000-tibetan-homes-demolished-in-kyigudo-04032013162339.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)