チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年3月29日
<速報>ルチュで6人目の焼身 28歳の僧侶 内地114人目
このところ、また焼身のニュースが続いている。26日の夜焼身があったことが2日後、やっと亡命側に伝えられた。情報網遮断が原因で伝わり難い状態が続いていると思われる。24日、25日、26日と3日連続で焼身抗議が行われたことになる。
3月28日の夜中、ダラムサラ・キルティ僧院がそのリリースで報告するところによれば、3月26日、現地時間午後7時頃、アムド、ケンロ、ルチュ(མདོ་སྨད་ཀླུ་ཆུ་རྫོང་甘粛省甘南チベット族自治州碌曲県)サムツァ郷にあるモクリ僧院(碌曲县双岔乡毛日村毛日寺རྨོག་རི་དགོན་པ)の僧侶クンチョク・テンジン(དཀོན་མཆོག་བསྟན་འཛིན།)、28歳が僧院近くのデンルンドと呼ばれる幹線道路の三叉路で、中国政府のチベット人弾圧政策に抗議するために焼身を行い、その場で死亡した。
遺体は僧院に運び込まれたが、当局が遺体を奪いに来ることを恐れ、その日の夜中、すぐに葬儀が行われた。事件発生後、僧院や近くの村々には大勢の部隊が押し寄せ、厳重な警戒が敷かれているという。
僧クンチョク・テンジンはルチュ県サムツァ郷モクリ村の出身。父の名はラコ、母の名はラモ・ツォ。実家は遊牧民。彼は幼少時にモクリ僧院の僧侶となり、勉学優秀ですでにほとんどの学業を終えていた。
モクリ僧院サムペル・リン(ゲデン・サンペル・リン)は1780年の創建。最初ギュトゥ僧院と関係が深かったが、後タクツァン・ラモ・キルティ僧院から教師が送られていた。僧侶の数、約90人。
ルチュ県での焼身はこれで6人目、全員死亡している。内地焼身114人目、内死亡確認96人目。
2009年以降、内外合わせ118人目、内死亡確認98人目。
参照:28日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/self-immolation-03282013190858.html
同チベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/selfimmolation-03282013163054.html
29日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/10324-2013-03-29-04-23-12
29日付けTCHRDリリースhttp://twiffo.com/1MMj
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)