チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年3月27日
チベット独立要求を本質とする13の違法行為
内地から伝えられたところによれば、最近青海省黄南チベット族自治州レゴン県内の各郷に「チベット独立要求を本質とする13の違法行為」と題された日付不記の政府公報チラシが張り出されたという。以下その日本語訳:
県内の恒久的社会秩序の安定を強く守り、様々な違法行為を厳打するため、ここに「チベット独立要求を本質とする13の違法行為」と題された広報をあなたたちに発表するので、これを県内の職員、民衆に広め、思想統一を計り、チベット独立の行為に対し、意識的闘争を行う助けとする。
1:他人に焼身を教唆、煽動したり、騙して行わせること。
2:焼身が起った後、当局が救助を行ったり、警察が捜査することを妨害すること。機を捕らえ集会を開いたり、遺体を担いでデモを行ったり、違法な行き来を行い、家族を見舞ったり、寄付(香典)を与えること。
3:海外の分裂勢力と関係を持ち、焼身現場やそこに人が集まっている様子等の写真を撮ったり、またそのような写真を探し、状況を聞き出し、分裂勢力に報告すること。
4:海外の分裂勢力と協力し合い、意図的な集会を開いたり、組織すること。
5:チベット独立を支持する違法な組織に参加したり、チベット独立のために組織され行われる違法な行動に参加すること。
6:「母語を保護する」とか「環境を保護する」とかの口実の下に、他人をして路上でデモを行わせたり、抗議の張り紙を貼らせること。
7:分裂主義的言葉を叫んだり、分裂主義的言葉が書かれた絵やCDを作り、販売したり、ネット等を使い広めること。
8:社会活動の口実の下に、コミュニティーから募金を募ること。
9:学校内でチベット独立を擁護する言葉を使ったり、極端な民族主義的思想を広めること。
10:民族愛の口実の下に、罪のない民衆や党職員を脅したり、暴力を振ったり、復讐すること。
11:焼香、読経、放生、灯明を灯す等をして焼身者を弔ったり、チベット独立組織と協力し合うこと。
12:チベットの保安に関する規則を守らず、意図的に抗議すること。
13:海外の分裂勢力の唆しに乗り、チベット内で民族間の軋轢を作り出すこと、等である。
これは地区のフウチューとか呼ばれる政府のボスが役人を集めた会議の席上で発言した内容の抜粋という。重複する項目もあるのはそのせいか?
それにしても、実際には焼身等は海外の独立組織と連絡を取って行われている訳ではなく、彼らが独立を要求しているとは限らない。これは政府の都合のいいシナリオ。「分裂主義的行為」と連呼するが、その定義はつまり政府の弾圧に抗議する全ての行為のようだ。「中道を求める」ダライ・ラマは「分裂主義者」に入らないしだ。統治責任を回避するために、とにかく全て海外の「分裂主義勢力」のせいにするという典型的中国役人思考。亡き人への焼香や読経まで禁止しながら、チベットでは宗教の自由が十分に保証されているという。
チベット人たちは自由を求めて炎と化す。中国はそれを見てさらにチベット人たちを不自由な檻の中に追い込む。
参照:26日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7503
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)