チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年3月13日

チベット人歌手に6年の刑 僧侶に5年 キルティ僧侶2度目の拘束

Pocket

singr-lolo1人気歌手ロロに6年の刑

ジェクンド(ケグド、玉樹)州ティンドゥ県出身の人気歌手ロロ(30)が昨年4月19日に当局により拘束されたというニュースは彼の歌と共に以前伝えた>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51741792.html

ロロはその後、激しい拷問を受け、衰弱しきったところで家族の下に一旦帰されていた。しかし、今年2月23日に再び連行され、最近6年の刑を受けたという。どの裁判所で、何の罪状で刑を受けたのかは未だ不明。

彼が刑を受ける原因となったアルバムは以下の「チベット国旗を掲げよ、雪山の息子たち༼བོད་དར་ཆ་སྒྲེངས་ཤིག་གངས་བུ་ཚོ ༽」であると思われている。

14曲が含まれるこのアルバムの中、アルバムのタイトルにもなっている曲の中で彼はチベットの独立、チベット人の団結、法王のチベット帰還を訴えている。以下、歌詞の一部を訳す:

チベット統一の流れを守るため
赤い中国の力に抗するため
真理と共なる中道から
チベットの国旗を掲げよ 雪山の息子たち

白い雪山への忠信を守るため
チベットの完全独立を獲得するため
様々な道の真の目的を理解しつつ
チベットの国旗を掲げよ 雪山の息子たち

ダライ・ラマ法王をチベットにお迎えするため
内外チベット人再会のため
赤い命を集めた階段から
チベットの国旗を掲げよ 雪山の息子たち

雪獅子と雪山に飾られしこの国旗は
チベット人の国旗なり
チベットのために嘗て犠牲となった勇者に報いるため
チベットの国旗を掲げよ 雪山の息子たち

7_edited-1シルカル僧院僧侶に5年の刑

同じくジェクンド州ティンドゥ県にあるニャンツォ・シルカル僧院は積極的に中国政府に抵抗を示す僧院として有名である。昨年9月1日には突然僧院に数百人の部隊が押し掛け理由も明かさず5人の僧侶を連行した。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51760361.html

5人の内、身体障害者である僧ガワン・モンラムは1ヶ月後に解放されたが、他の4人は引き続き拘束されていた。数ヶ月後には今回刑期を受けた僧ロプサン・ジンバと僧ツルティム・ケルサンが、拷問の結果重体となったというので、家に帰された。

そして再び2月23日に、自宅で療養中の僧ロプサン・ジンバ(31)は連行され、最近5年の刑を言い渡されたという。罪状は不明のままであり、現在どの刑務所に収監されているのか、健康状態はどのようなのか等は家族にも知らされず、不明という。

この2人(歌手ロロと僧ロプサン・ジンバ)の情報を伝えたチベット人は、「当局はこのように僧侶や歌手を政府に逆らう者として拘束し、刑期を与える前に激しい拷問にさらし、死にそうになったところで家族に引き渡す。そして、家族が治療費に大金を使って何とか彼らを回復させたころを見計らって再び逮捕する。これはチベット人を人と見なしていない行為であり、また違法である。だから、外のチベット人や国際機関に対し、彼らを解放するために助けてほしいとお願いする」と。

以上2件参照:13日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7442
12日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-35-27/10244-2013-03-13-04-47-37

imageキルティ僧院僧侶が拘束される

昨日付けダラムサラ・キルティ僧院リリースによれば、3月9日の夜中、ンガバ・キルティ僧院の東側にある民家で病床にある叔母の看病をしていたキルティ僧院僧侶ツェパック(29)が突然連行された。

彼が拘束されるのはこれで2度目である。2011年3月25日、北京で突然警察に連行された。彼はその時中央民族大学に聴講生として通っていた。数ヶ月間拘束され、解放された。その時には外国と連絡を取ったという嫌疑で拘束されたらしいという。

彼は幼少よりキルティ僧院の僧侶となり、成績は優秀、現在中観学3年目という。連行された後行方は掴めず、家族は非常に心配しているという。

参照:12日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7441
13日付けTCHRDリリースhttp://www.tchrd.org/2013/03/kirti-monk-detained-for-second-time-in-two-years/

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

ちべろぐ

Archives

  • 2018年3月 (3)
  • 2017年12月 (2)
  • 2017年11月 (1)
  • 2017年7月 (2)
  • 2017年5月 (4)
  • 2017年4月 (1)
  • 2017年3月 (1)
  • 2016年12月 (2)
  • 2016年7月 (1)
  • 2016年6月 (1)
  • 2016年5月 (9)
  • 2016年3月 (1)
  • 2015年11月 (1)
  • 2015年10月 (2)
  • 2015年9月 (4)
  • 2015年8月 (2)
  • 2015年7月 (14)
  • 2015年6月 (2)
  • 2015年5月 (4)
  • 2015年4月 (5)
  • 2015年3月 (5)
  • 2015年2月 (2)
  • 2015年1月 (2)
  • 2014年12月 (12)
  • 2014年11月 (5)
  • 2014年10月 (10)
  • 2014年9月 (10)
  • 2014年8月 (3)
  • 2014年7月 (9)
  • 2014年6月 (11)
  • 2014年5月 (7)
  • 2014年4月 (21)
  • 2014年3月 (21)
  • 2014年2月 (18)
  • 2014年1月 (18)
  • 2013年12月 (20)
  • 2013年11月 (18)
  • 2013年10月 (26)
  • 2013年9月 (20)
  • 2013年8月 (17)
  • 2013年7月 (29)
  • 2013年6月 (29)
  • 2013年5月 (29)
  • 2013年4月 (29)
  • 2013年3月 (33)
  • 2013年2月 (30)
  • 2013年1月 (28)
  • 2012年12月 (37)
  • 2012年11月 (48)
  • 2012年10月 (32)
  • 2012年9月 (30)
  • 2012年8月 (38)
  • 2012年7月 (26)
  • 2012年6月 (27)
  • 2012年5月 (18)
  • 2012年4月 (28)
  • 2012年3月 (40)
  • 2012年2月 (35)
  • 2012年1月 (34)
  • 2011年12月 (24)
  • 2011年11月 (34)
  • 2011年10月 (32)
  • 2011年9月 (30)
  • 2011年8月 (31)
  • 2011年7月 (22)
  • 2011年6月 (28)
  • 2011年5月 (30)
  • 2011年4月 (27)
  • 2011年3月 (31)
  • 2011年2月 (29)
  • 2011年1月 (27)
  • 2010年12月 (26)
  • 2010年11月 (22)
  • 2010年10月 (37)
  • 2010年9月 (21)
  • 2010年8月 (23)
  • 2010年7月 (27)
  • 2010年6月 (24)
  • 2010年5月 (44)
  • 2010年4月 (34)
  • 2010年3月 (25)
  • 2010年2月 (5)
  • 2010年1月 (20)
  • 2009年12月 (25)
  • 2009年11月 (23)
  • 2009年10月 (35)
  • 2009年9月 (32)
  • 2009年8月 (26)
  • 2009年7月 (26)
  • 2009年6月 (19)
  • 2009年5月 (54)
  • 2009年4月 (52)
  • 2009年3月 (42)
  • 2009年2月 (14)
  • 2009年1月 (26)
  • 2008年12月 (33)
  • 2008年11月 (31)
  • 2008年10月 (25)
  • 2008年9月 (24)
  • 2008年8月 (24)
  • 2008年7月 (36)
  • 2008年6月 (59)
  • 2008年5月 (77)
  • 2008年4月 (59)
  • 2008年3月 (12)