チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年3月12日

ザチュカで僧侶3人のデモ バタンでも僧侶3人がデモ ラサで携帯一斉チェック 女性蜂起記念日

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417469_10200282498558932_809647278_n3月10日、東京(FBより)

今年の3月10日蜂起記念日・愛国犠牲者追悼日は焼身100人越えを受け、世界中で例年を上回る盛り上がりようだったらしい。ブルッセル5千人、NY国連前3千人、トロント3千人の話はもう昨日伝えた。ドイツではベルリンを始め1200以上の市町村でチベット国旗が掲げられたという。また、アジアにおいては台湾で数百人が集まり派手なデモを行ったようだ。さらに韓国でも約200人が集まりイベントを行ったと伝えられている。こうしてみると、いくら在日チベット人が少ないとはいえ東京の参加者約120人というのはちょっと寂しいと感じなくもない。ま、これが現実ということで。

Phayul やTibet Timesにも台湾、韓国、ロシアを含め各国レポートは上がっているが、まだ日本は上がっていない。

外国の話はさておき、以下、3月10日前後のチベット内からの報告と、今日行われた「女性蜂起記念日」の写真を載せる。

1103a逮捕された左から僧ソナム・ナムギェル、僧トゥプテン・ゲレック、僧ロプサン・サムテン。

ザチュカで抗議デモ5人逮捕

3月10日、蜂起記念日当日現地時間午前11時40分頃、カム、カンゼ(四川省カンゼチベット族自治州)セルシュル県ザチュカでマンゲ僧院の僧侶3人が抗議デモを行い、逮捕された。

3人の僧侶の名前はロプサン・サムテン(བློ་བཟང་བསམ་གཏན་)、ソナム・ナムギェル(བསོད་ནམས་རྣམ་རྒྱལ་)、トゥプテン・ゲレック(ཐུབ་བསྟན་དགེ་ལེགས་)。

3人は街の中心部でダライ・ラマ法王の写真と様々なスローガンが書かれた白い布を掲げ、「ダライ・ラマ法王に長寿を!民主主義を!」等のスローガンを叫び続けたという。しばらくして到着した警官が彼らを逮捕しようとしたが、そのとき2人のチベット人が彼らが拘束されるのを阻止しようとした。そして、この2人も一緒に逮捕された。

この2人の名前はロプサン・ケルサン(17)とガワン・ギャンツォ(41)。2人とも元僧侶という。

参照:10日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/uprising-03102013113033.html
10日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7426
11日付けVOT中国語版http://vot.org/cn/

imageバタン中心部。

バタンで僧侶3人がデモ、1人逮捕

3月8日、カム、カンゼ州バタン県バタンの街中でリンカシ郷のヤソ僧院僧侶3人が「ダライ・ラマ法王の長寿を!チベットには自由が必要だ!独立が必要だ!チベット語に自由を!」等のスローガンを叫びながら、平和的抗議デモを行った。

3月10日を前に街には大勢の部隊が展開していた。現場に部隊が駆けつけ、3人を逮捕しようとしたが、内2人は逃げる事ができたという。逮捕された僧侶の名前はタシ・ドルジェ。逃げた2人の僧侶の名前は分かっていない。

最近同じリンカシ郷にあるキャンカル僧院ではダライ・ラマ法王の大きなタンカを制作し、付近の村人も参加してこの開帳式を行おうとしたが、当局はこれを阻止した。この事件以降地区で緊張が高まっていたという。

また、ヤソ僧院の近くでは鉱山開発が行われており、付近のチベット人と僧侶はこれに反対し、抗議デモを行ったが、当局はこれを暴力的に鎮圧した。その時何人かの死傷者がでた。それ以来地区には部隊が大勢常駐しているという。

参照:11日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/three-monks-protest-and-one-detained-in-bathang-karze-03112013152513.html
12日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7435

ラサで僧侶の携帯電話一斉チェック

ラサでは3月8日、デブン僧院に北京から派遣された携帯電話チェック専門家が警察と共に現れ、僧侶全員の携帯電話をチェックしたという。法王や焼身のが入っていないか、禁止されている歌等が入っていないかというのもチェックされるが、特に今回は外国と通話していないかが厳重にチェックされたという。

この特別チームはこれから、セラ僧院、ガンデン僧院の僧侶をチェックし、さらにラモチェ僧院、ジョカン寺をまわり、徐々にその他の小さな僧院、寺院でも同様のチェックを行う予定という。

当局は少しでも疑いのある通話を行った経歴が見つかれば、「国家機密漏洩罪」を適用し直ちに僧侶、尼僧を逮捕するつもりという。

参照:11日付けTCHRDリリースhttp://www.tchrd.org/2013/03/china-launches-crackdown-on-personal-cellphones-in-lhasa/

第54回女性蜂起記念日

1959年の今日3月12日、ラサのポタラパレスの前にチベット人女性数千人が中国の圧政に抗議するため集まった。これを鎮圧しようと共産党軍が出動し、女性数百人がその場で殺害され、1000人以上が逮捕されたという。このような凄惨な日にチベット女性協会(TWA)は設立されたのだ。

この日を記念するために、デリーやダラムサラでは式典、デモ、集会が開かれた。

DSC_1683ダラムサラのデモの写真を何枚か載せる。

DSC_1725女性蜂起記念日ということで参加者のほとんどは尼僧、TCVの女子生徒、街の女性たちであった。

DSC_1755

DSC_1800

482029_585616641465774_94920023_nデリーでは正午前、13人のチベット女性協会メンバーが中国大使館へ突入を計り、警察により全員拘束された。

夕方には解放されるであろうと。(この写真はチベット女性協会提供)

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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