チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年2月13日
<速報>チベット独立100周年記念日にカトマンドゥで若い僧侶が焼身 病院で死亡
チベットの正月3日目、そして「チベット独立宣言100周年」に当たる今日、2月13日にネパールのカトマンドゥで1人の若いチベット人僧侶が中国政府に対する抗議の焼身を行った。
朝8時15分頃、カトマンドゥ、ボドナートの仏塔を巡るコルラ(右繞)道の上で、21歳とも言われる若いチベット人僧侶が身体に油を掛け、火を点けた。大きな炎に包まれながら「ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫んだ、と目撃者は言う。他にも反中国的スローガンを叫んだという報告もある。
現場にはネパールの警官が大勢集まり、荒っぽく火を消そうとした。火が消された後Tribhuwan University Teaching Hospitalに運び込まれたという。他の目撃者は「おそらく生きることは難しいだろう」と話した。
彼はあるカフェに入り、トイレを貸してくれといったそうだ。そして、トイレから出た時にはガソリンを被っており、そのまま道に出て火を点けたという。
現在まだ、焼身者の氏名等詳しいことは伝わっていない。分かり次第、追記する。
ネパール政府は中国政府のご機嫌を伺うかのように、このところ年々チベット人の政治的活動の制限を強化し、市民的権利も制限し続けている。特に最近、この焼身があったボドナートの仏塔付近の警戒が厳しくなり、仏塔の回りは一切の政治的集会が禁止されたばかりである。ネパールには約1万5千人のチベット人が住みついている。
本土以外で焼身抗議は今年初めてである。内外を合わせたチベット人の焼身抗議者の数は1998年のツプテン・ンゴドゥプ以来107人目。2009年以降では105人目。内地101人、外地4人である。カトマンドゥにおける焼身は2011年11月10日の僧ブトゥク以来2人目。
追記(2月14日):RFA中国語版は、焼身者の名前を「ダワ」と呼び、彼は病院に運ばれた後、死亡したという。
参照:13日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7313
13日付けphayul http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=33030&article=Breaking%3a+Tibetan+monk+self-immolates+in+Nepal
13日付けAP>Washington Post http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/tibetan-protester-sets-himself-on-fire-in-nepals-capital-in-apparent-protest-against-china/2013/02/12/26d43e8a-7592-11e2-9889-60bfcbb02149_story.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)