チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年1月22日
僧侶4人に2~10年の刑 焼身関連か?
ダラムサラ・キルティ僧院リリースによれば、今月半ば、ンガバ州バルカムの中級人民法院は去年3人の焼身者を出した、ツォドゥン・キルティ僧院(ཚོ་བདུན་ཀིརྟི་དགོན་)の僧侶4人に秘密裁判により2年から10年の刑を言い渡した。
僧ナムセ(རྣམ་སྲས་18)に10年、僧ヤーペル(ཡར་འཕེལ་ 18)に6年、僧アスン(ཨ་སྲུང་22)に2年半、僧ロプサン・センゲ(བློ་བཟང་སེང་གེ་ 19)に2年。
4人とも去年8月中に僧院で拘束され、その後行方不明のままであった。2012年8月12日に僧ロプサン・センゲ、僧ヤーペル、僧ナムセが僧坊から夜中に連行され、4日後の8月16日に僧トゥプワン・テンジンと僧アスンが連行されている。僧トゥプワン・テンジンと同じく8月中に連行された僧ラプテンの消息は依然不明のままという。
裁判は秘密裏に行われたので、判決理由は明らかではないが、現地の消息筋によれば、彼らは去年同僧院僧侶3人が焼身したことに関係したとして刑期を受けたのではないかと推測している。
焼身した3人とは2012年3月30日にバルカムで一緒に焼身した僧テンパ・タルギェと僧チメ・パルデン(詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51737734.html)、2012年7月17日にツォドゥン・キルティ僧院内で焼身したロプサン・ロンジン(詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51754157.html)である。
参照:22日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7226
21日付けTCHRDリリースhttp://www.tchrd.org/2013/01/china-sentences-four-tibetan-monks-to-long-prison-terms/#more-616
チベット人の焼身は政治的抗議であり、誰かに唆されたというものではなく完全に個人的行為である。しかし、中国当局はこれを海外のダライ一味の煽動、教唆によるものとし、それを仲介した者をでっち上げようとしている。今回も拘束後の拷問で虚偽の告白を引き出したか、虚偽のストーリーが書かれた書面にサインさせた可能性が高いと思われる。拷問に負けず、如何なる虚偽の告白、サイン等をしなかったとしても、中国の裁判所は勝手な理由をつけ、判決を言い渡すことができるのだ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)