チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年1月15日
焼身の情報を国外に伝えたとして8人連行
去年11月29日、アムド、ルチュ(甘粛省甘南チベット族自治州碌曲県)でツェリン・ナムギェル(31)が焼身抗議を行い、死亡した。(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51771156.html)
この事件の後、ルチュ警察は彼の焼身に関する情報を国外に伝えたとして、去年12月末に8人のチベット人を連行。内1人は解放されたが、残りの7人は行方不明のままという。
12月20日、地元警察はルチュ県サムツァ郷(ཀླུ་ཆུ་རྫོང་ཟམ་ཚ་ཡུལ་ཚོ་)にあるドンスク・ゲデン・シェラップ・プンツォク・ダルギェリン(僧院གདོང་ཟུག་དགེ་ལྡན་ཤེས་རབ་ཕུན་ཚོགས་རབ་རྒྱས་གླིང་)に押し掛け、僧ケルサン・サムドゥプ(44)を尋問した。次の日、彼は「分裂主義者と関係を持った」との嫌疑で連行された。彼が連行された3日後には、11月29日に焼身、死亡したツェリン・ナムギェルの情報を国外に流し、今も国外と連絡を取っているとしてロツォ村のニマ、ラモ・ドルジェ、ドルジェ・ドゥンドゥプ、ケルサン・キャプ、ケルサン・ソナム、ケルサン・ナムデン、ソナム・キの7人が連行された。
この内、ケルサン・ナムデンは焼身したツェリン・ナムギェルの妻の弟である。また、唯一の女性であるソナム・キは2008年、ラサで商売をしていた時、国外と連絡を取ったとしてラサを追い出されたことがあった。
その後、ニマだけは携帯等を押収された後、解放されたという。その他の7人はルチュで拘束されているのであろうと思われているが、確かな居所は不明のままである。
参照:12日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7185
12日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/amdo-stringer/8-tibetan-arrested-from-luchu-amdo-01122013115203.html
ケルサン・キャプ
ドルジェ・ドゥンドゥプ
ニマ
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)