チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年1月8日

携帯に法王写真で刑期 焼身者を供養し拘束 国境なき記者団が僧侶3人解放要求

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386766_10151234595921009_127645240_n1月4日の中国外交部定例記者会見で最近話題となっている中国紙「南方週末」に対する検閲問題について質問され、華春瑩は「中国には新聞審査制度など存在しない。中国は新聞の自由を保護している」と発言。まっかな嘘を言うことにまったく恥ずかしさを感じていない。文字通りの厚顔無恥。無敵である。
この発言に対する中国人ネットユーザー等の反応を少し詳しく知りたい方は>http://www.epochtimes.jp/jp/2013/01/html/d46442.html?ref=rss&utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

最近伝えられたチベット内地のニュース等。

携帯に法王の写真で刑務所送り

アムド、レゴン(青海省黄南チベット族自治州同仁県)でチベット人若者がダライ・ラマ法王の写真を携帯に保持していたとして逮捕され、秘密裁判の後、現在西寧の刑務所に収監中と。

数ヶ月前にレゴン県センゲ郷当局はユム・キャプ(ཡུམ་སྐྱབས་)という25歳の若者を逮捕した。その後、彼の消息は途絶えたままであった。家族が行方を追っていたが、やっと最近彼が西寧の刑務所に収監されているということを突き止めた。しかし、彼がどのような罪状で何年の刑を受けたのか、現在どのような状態にあるのか等はまったく知ることができないままという。

彼が逮捕された原因は、携帯の中にダライ・ラマ法王の写真と2008年蜂起の際、軍隊がチベット人たちを殴りつける場面が写った写真を保持していたからだと言われている。また、現地の人々は、この他にも彼が海外のメディアに情報を流したことが携帯の記録から発覚したのではないかと噂している。

彼はタンカ(チベット仏画)絵師であり、家族の唯一の稼ぎ手だった。残された妻と2人の子供は彼が行方不明となった後、生活に困っているという。

アムド一帯では焼身抗議が続いた後、警戒が厳しくなり、携帯をチェックされ拘束される人が後を絶たないという。彼もそのようなチベット人の1人である。

参照:7日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7155
7日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32775&article=Youth+sentenced+for+contacting+Tibetan+journalist%2c+Two+monks+arrested

焼身者供養を先導したとして僧侶2人拘束

去年11月19日、アムド、ヤズィ(青海省海東地区循化撒拉族自治県)で25歳のワンチェン・ノルブが焼身、死亡した(詳しくはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51770050.html)。2日後、ヤズィ県ビンド郷にあるビンド(བིས་མདོ་)僧院僧侶をはじめ地区の他の僧院僧侶、俗人が焼身したワンチェン・ノルブを供養するために彼の家に向かった。しかし、彼らは途中の路上で警官、役人たちに道を阻まれた。この時数人が拘束された。拘束された人たちはその後解放されたが、最近当局はビンド僧院僧侶ツォンドゥ(27)とゲンドゥン・ツルティム(30)を再び拘束した。

彼らが拘束された理由は、2人が供養のために家族の下に向かった一群を先導し、またその後僧院でワンチェン・ノルブのために法要を行った時にも、それを組織する中心になっていたからであろうと思われている。

彼らは現在ヤズィ県の警察署に拘束されている。家族はこれまでに5回警察署を訪れ、彼らには何も罪はないと説得するもまったく聞き入れられず、面会も許されないという。

参照:4日付けTibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7148

1301060952109Y国境なき記者団が僧侶3人の解放を要求

国境なき記者団(Reporters Sans Frontieres )は1月4日付けレポートhttp://en.rsf.org/chine-enforced-disappearance-of-three-04-01-2013,43860.htmlの中で去年12月初めに外国に学生デモの情報を流したとして逮捕され、行方不明となっている3人の僧侶の解放を中国当局に求めた。

この3人の僧侶については当ブログhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51772740.htmlにおいても短く報告している。3人はアムド、チャプチャ県チャムル僧院僧侶であり、1人は去年12月1日に逮捕されたスンラップ・ギャンツォ、残り2人は12月3日に逮捕されたダサンとイシェ・サンポである。彼らは11月26日にチャプチャで行われた衛生学校の学生たちによる、民族平等、民族自由、言語平等、政権交代を求める大規模デモに関する情報を外国に伝えたとして逮捕された。この平和的デモは武力鎮圧され大勢の学生が重軽傷を負い、拘束後刑期を受けた学生もいる。
(デモについてはhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51770778.html等参照)

「中国当局は自分たちに都合の悪い情報を流した人権活動家を逮捕し、失踪状態にすることを日常的に行っている。これは過激で極端なやり方である」

「我々はこのようなやり方に激怒する。中華人民共和国は自由と正義を求めるメッセージを検閲するのみならず、このような情報を伝えた人々を標的としている。我々は3人の僧侶と警察官(別件で15年の刑を受けた深圳の中国人警察官)を直ちに解放し、彼らに対する罪状を取り下げるとこを求める」と国境なき記者団は表明した。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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