チベットNOW＠ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月12日
ディルで７人が焼身を図るも察知され２人逮捕、５人が川に飛び込み自殺
昨日１２月１１日、現地からRFAに伝えられた情報によれば、今月９日、世界人権デーの前日、チベット自治区ナクチュ地区ディル県ペカル郷（ནག་ཆུ་འབྲི་རུ་རྫོང་དུ་ཡོད་པའི་བལ་དཀར་གྲོང་སྡེ་）で７人のチベット人が、中国政府のチベット圧政に抗議するために焼身を行おう計画していた。
しかし、直前に地元の警察がこの計画を察知した。警察は彼らの居所を突き止め、内２人を逮捕、残りの５人は逃げて、近くの川に飛び込み自殺したという。
現在のところ、彼らの名前など、その他詳細は不明でRFAが今調査しているところという。
本当にこの７人が一緒に焼身していたら、大きなニュースとなったであろうに、川に飛び込み死んでしまったとは。
ディル県ペカル郷では１１月７日にツェギェ（２７）が焼身している。彼はその後ナクチュに連行され、治療も与えられず、１２日後の１１月１８日に刑務所内で死亡したと伝えられている。
政府庁舎の前に連署の張り紙
同じ情報提供者が続けて語るところによれば、１２月１０日、世界人権デーにディル県シャクチュ郷（འབྲི་རུ་རྫོང་ཤག་བཅུ་）の政府庁舎の門や草原内の記念塔に多くのチベット人が連署したチベット問題を訴える張り紙が何枚の張り出されていたという。
そこには「我々には自由がない。自由を得るため、３地区（ウツァン、カム、アムド）のチベット人の望みを叶えるため、世界の民族の権利を実現するため、ダライ・ラマ法王をチベットにお招きするため、パンチェン・リンポチェを獄から解放するため、愛国の勇者、勇女の恩を思い、３地区のチベット人は団結し、死をも覚悟し、必ず闘い続ける。１２月１０日、世界人権デーに」と書かれていたという。
さらに彼が言うには、「中国政府はチベット全域、特にナクチュ、ディル県を弾圧し、多くのチベット人を逮捕し、酷い暴力を行使している。例えば、先にグドゥップが焼身抗議を行った後３６人が逮捕された。最近は中国の弾圧の下でチベット人は息をするのも苦しい状況となっている」。
ここに連署したチベット人たちは逮捕される可能性が高いと思われるが、今のところ続報は入っていない。
参照：１１日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/five-jamp-in-river-nakchu-12112012145039.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール（1,500人収容）、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。（写真：野田雅也撮影）
