チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月8日
「灯明祭」の日に新たな焼身・死亡 内地95人目 98年以降内外100人目
今日はゲルク派の祖師ジェ・ツォンカパの命日であり、チベットの僧院や家々には沢山の灯明が灯される。そんな日にチベットの自由のために自らを灯明と化した僧侶がいた。
ダラムサラ・キルティ僧院によれば、今日12月8日、現地時間午後5時20分頃、アムド、ンガバ州ゾゲ県にあるタクツァン・ラモ・キルティ僧院(སྟག་ཚང་ལྷ་མོ་ཀིརྟི་དགོན་པ་)の集会堂の前で僧クンチョク・ペルギェ(དཀོན་མཆོག་འཕེལ་རྒྱས་)、24歳が中国政府のチベット圧政に抗議するために焼身し、その場で死亡した。
彼は炎に包まれながら、両手を合わせ「ダライ・ラマ法王に長寿を!ダライ・ラマ法王をチベットへ!キルティ・リンポチェをチベットへ!内外のチベット人が再会できますように!」と叫んだ。
多くの僧侶が彼が燃え盛るのを囲み、彼の名を叫び、キルティ・リンポチェの加持により慈悲と智慧の行が完成しますように、という意味のお経が大きな声で唱えられた。その後、彼の遺体は彼の僧坊に運ばれ現在大勢の僧侶たちにより法要が営まれているところという。
僧クンチョク・ペルギェはゾゲ県ディンワ郷グダ村(མཛོད་དགེ་རྫོང་འབྲིང་བ་ཞང་གོས་བརྡ་སྡེ་བ་)の出身。父の名はクンチョク・キャプ、母の名はドルマ・ツォ。幼い時に地元のディンワ・スンド僧院(འབྲིང་བའི་སུམ་མདོ་དགོན་)の僧侶となり、2010年からタクツァン・ラモ・キルティ僧院で本格的な論理学の勉強を始めていた。
当局はタクツァン・ラモ・キルティ僧院に通じる道を閉鎖しているという。
参照:8日付Tibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7030
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)