チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年12月3日
<速報>12月2日、サンチュで17歳の少年が焼身抗議 1児の父と 内地93人目
今日(12月2日)現地時間午後3時40分頃、アムド、サンチュ・ゾン(甘粛省甘南チベット族自治州夏河県)ボラ郷(བསང་ཆུ་འབོ་ར་)でスンドゥ・キャプ(གཟུངས་འདུས་སྐྱབས་)、17歳が中国政府のチベット圧政に抗議する焼身を行った。
現場には、普段からボラ僧院を監視していた200人近い部隊が直ちに到着し、火を消し、彼をツゥ(ツォエ、合作)の病院に運んだという。スンドゥ・キャプは死んではいないという情報が入っている。
スンドゥ・キャプの子供を抱く、スンドゥ・キャプの父親ツェパ。
VOAのツェリン・キによれば、スンドゥ・キャプはボラ郷ダルド村の出身。若いがすでに結婚しており、2歳になる男の子がいるという。父の名はツェバ、母の名はワンデ・ツォ。
彼の焼身した場所はボラ僧院近くの道路上と。現場にはボラ僧院の僧侶と大勢のチベット人が集まり、彼が連れ去られるのを阻止しようとして、部隊と衝突した。さらに連れ去られた方向に向かい、チベット人たちが歩き始めたが、これも阻止されたという。
目撃者は「彼は焼身しながらも頭を壁にぶつけ、沢山血を流していた。連れ去られるときには死んではいなかったが、生きる望みは少ないであろう」と語る。
彼が焼身した場所は10月20日に2児の父ラモ・キャプが焼身した場所と同じという。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51766223.html
その他、詳細が分かり次第、追記する。
参照:2日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=7000
2日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9759-2012-12-02-15-16-11
写真中の矢印はボラ郷ダルド村にあるスンドゥ・キャプの実家を示すものと思われる(Tibet Timesより)
追加(12月6日)スンドゥ・キャプに捧げられた井早智代さんの絵。添えられた言葉と共に。
「伝わった彼の写真は馬に乗ったものであった。後ろには緑の草原が。
昨日のダラムサラの夕日の空は虹色に満たされ、雲の端が金色に輝いていた。
あなたは馬に乗り、美しい光に祝福された空へと昇って行く」
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)