チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月26日
<速報>今日、カンゼ州セルタで若者が焼身 内地85人目
今日、11月26日、午前11時半頃、カム、カンゼ、セルタ・ゾン(དཀར་མཛེས་བོད་རིཊ་རང་སྐྱོང་ཁུལ་གསེར་རྟ་རྫོང་四川省カンゼチベット族自治州色達県)セルタの金馬広場でワンギェル(དབང་རྒྱལ་)、20歳前後が中国政府のチベット弾圧に抗議する焼身を行った。
目撃者の話によれば、彼は広場に通じる大通りで焼身し、炎に包まれながら「ダライ・ラマ法王をチベットに!チベット人には自由が要る!」と叫びながら金馬像の前まで走り、そこで倒れたという。この広場には常時警備部隊が大勢配備されており、彼らが倒れたワンギェルの火を消し、運び去った。目撃者は「炎は大きく、彼は酷く焼けていた。助かる見込みはないであろう」と話した。その後の安否は未だ不明。
追加写真:ワンギェルの写真。
ワンギェルはセルタ県ケンレップ郷カシュル村(མཁན་ལེབ་ཡུལ་ཚོའི་ཁ་ཤུལ་སྡེ་བ་)の出身。両親は彼が幼い時に死亡したという。彼は元僧侶であり、現在は地元の人民中学校に通っていた。
セルタでの焼身は初めてである。ただ今年3月12日に同じ金馬広場で17歳のティンレーという中学校生徒が焼身を図ろうとしたが、ガソリンを飲み過ぎ火を付ける前に意識を失い、倒れ、逮捕されたという事件があった。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51736114.html
今年1月24日にはセルタで大規模な抗議デモが発生し、これに対し部隊が発砲し死傷者が出ている。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51728031.html等。
参照:26日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6957その他。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)