チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年11月24日

<速報>23日夕方 ツェコで焼身 83人目 今月19人目

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11月23日、現地時間午後6時半頃、アムド、ツェコ・ゾン(青海省黄南チベット族自治州沢庫県)ドカルモ郷(རྩེ་ཁོག་རྫོང་རྡོ་དཀར་མོ་ཞང་)にある政府庁舎前でタムディン・ドルジェ(རྟ་མགྲིན་རྡོ་རྗེ་)、29歳が中国政府のチベット圧政に抗議するために焼身し、その場で死亡した。

タムディン・ドルジェは炎に包まれながらも両手を合わせ、「ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫んだ。直ちに行われた葬儀には地区のチベット人千人以上が集まり、ダライ・ラマ法王を讃えるお経やマニ(観音菩薩の真言であるオンマニペメフン)が唱えられたという。

現在、現地に電話が通じず、タムディン・ドルジェの出身地がドカルモ郷メコル村(རྡོ་དཀར་མོ་ཞང་དམེ་སྐོར་སྡེ་བ་)であるという事以外、その他の情報は入っていない。写真や詳細が分かり次第追記する。

参照:24日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6952
24日付けTibet Net 英語版http://tibet.net/2012/11/24/one-more-tibetan-dies-after-setting-self-on-fire/

追記:Tibet Expressによれば、タムディン・ドルジェの出身地はレゴン県ゴンシュル郷メコル村第1地区(རེབ་གོང་མགོན་ཤུལ་དམེ་སྐོར་རུ་ཁག་དང་པོ་)。目撃者の話によれば、彼は炎に包まれながら10歩ほど歩いた後、倒れ、再び起き上がろうとしたが、崩れ、その場で死亡したという。その後、遺体は集まったチベット人や僧侶たちによりゴンシュル僧院(ンガクガル・サンガク・ミンドル・ダルギェリンམགོན་ཤུལ་སྔགས་སྒར་གསང་སྔགས་སྨིན་གྲོལ་དར་རྒྱས་གླིང་)近くの葬儀場に運ばれ、葬儀が行われた。

タムディン・ドルジェは焼身の数日前に家族全員を集め、パーティーのようなものを開いた。また、近しい友人をツェコに集め(最後の)宴会を開いた。その席で彼は何度も、「このような弾圧下に暮らし続けることは難しい」と話ていた。また、焼身の半時間前に友人と話した時にも、「こんな弾圧と苛めの下で過ごすのはもう嫌だ」と話たという。

彼の家族は6人で、母の名前はギャモ・キ。彼には兄弟が4人いる。彼は長男で、家の家長として全ての責任を担っていたという。

今月17日には同じドカルモ郷の政府庁舎前でサンダク・ツェリンが焼身抗議を行い、死亡している。この焼身のせいもあるが、このところ地区には大勢の部隊が配備され、様々な規制や脅しが行われているという。

参照:24日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9709-2012-11-24-07-30-54

156786_493045560735869_1282123231_n上記のタムディン・ドルジェを除いた、22日までの「チベット内焼身抗議・主な抵抗運動発生地地図(Tsampa Revolution制作)」。今月に入り発生した焼身18件が黄色でマークされている。レゴンの南西隣にツェコがある。

焼身発生地点がンガバからレゴンを中心としたアムド北東部に集中して来ているのが分かる。焼身者も僧侶中心から俗人中心になっている。

それにしても今月に入り、異常な数の焼身が発生している。11月4日から、昨日までの20日間に19人が焼身している。ほぼ平均して毎日1人づつ焼身していることになる。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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