チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月23日
<速報>22日、2人目の焼身 ルチュ川の河原で23歳の若者が
昨日11月22日、夜中頃、アムド、ルチュ(ཀན་སུའུ་ཞིང་ཆེན་ཀན་ལྷོ་ཁུལ་ཀླུ་ཆུ་རྫོང་甘粛省甘南チベット族自治州碌曲県)で1人のチベット人が焼身を行っていたことが今日になり判明した。
焼身した若者の名前はタムディン・キャプ(རྟ་མགྲིན་སྐྱབས་)、年齢は23歳。焼身した場所はルチュの街から遠くないルチュ川の河原。彼が焼身し、死亡したということは今日の朝になるまで気付かれなかったという。遺体が発見された後、直ぐに遺体は家族の下に届けられ、現在シツァン僧院の僧侶たちが法要を行っているという。
彼はルチュ県マゲ郷ペルギュル・ナクリ村(ཀླུ་ཆུ་རྫོང་མ་ངེས་ཞང་གི་ཁོང་གཏོགས། ཤིས་ཚང་ཚོ་བ་བཅུ་གཉིས་ཀྱི་ནང་ཚན་དཔལ་སྒུར་ནགས་རི་ཚོ་བ་)の出身。父はすでに亡く、母の名はドルマ・ツォ(47)。2006年にシツァン僧院の僧侶になったが、次の年、還俗し、今は遊牧の仕事をしていた。彼は焼身のニュースを聞く度に回りの人に向かって「自分もそのようなことができたら素晴らしいだろう」「ダライ・ラマ法王がチベットにお戻りになることができないなら、生きていても死んでいても変わらない」と語っていたという。
内地焼身抗議者82人目(亡命政府発表80人目)、内死亡確認68人目(亡命政府発表66人目)。内外合わせ85人目、内死亡確認69人目。今月に入り18人目。
参照:23日付Tibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6949
23日付phayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32496&article=Breaking%3a+Another+self-immolation+rocks+Tibet%2c+Toll+reaches+80
以下、バンクーバー在住という日本人画家Tomoyo Ihayaさんがチベットの焼身をテーマに描かれた絵を2枚紹介する。
これは20日、アムチョク郷の金鉱山入り口で焼身、死亡したツェリン・ドゥンドゥップを描いたもの。絵には短い文が添えられている。
「あなたの遺体から緑の草が生えるでしょう。そして、その場所は聖なる草原となる。あなたは黄金の光の中にいる」
これは19日にヤズィで焼身、死亡したワンチェン・ノルブに捧げられた一枚。
「千の灯明」と名付けられ、全ての焼身者に対し僧侶たちが千の灯明供養を行っているところという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)