チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月20日
<速報>19日、ヤズィ県で25歳の若者が焼身抗議、死亡 内地79人目
ワンチェン・ノルブ生前の写真。彼はこのポタラ宮をバックにした写真を撮るために最近わざわざレゴンまで行っていた。
昨日、11月19日、現地時間午後8時頃、アムド(青海省)ツォシャル(མཚོ་ཤར་海東地区)ヤズィ・ゾン(ཡ་རྫི་རྫོང་循化撒拉族自治县)カンツァ・チベット族郷(་རྐང་ཚ་ཞང་岗察藏族乡)カンツァ僧院(ガンデン・チュペル・リンརྐང་ཚ་དགོན་དགའ་ལྡན་ཆོས་འཕེལ་གླིང་)の傍でワンチェン・ノルブ(དབང་ཆེན་ནོར་བུ་)25歳が中国政府に対する抗議の焼身を行い、死亡した。
ワンチェン・ノルブは焼身しながら、「ギャワ・テンジン・ギャンツォ(ダライ・ラマ法王)をチベットへ!パンチェン・リンポチェを開放せよ!チベット人には自由が必要だ!」と叫んだ。
遺体はカンツァ僧院に運び込まれた後、僧院傍の葬儀場で荼毘に付された。葬儀には地区の僧侶、チベット人のほぼ全員が集まり、大声でダライ・ラマ法王を讃える詩句が唱えらた。部隊も葬儀場に向かったというがその後の情報は入っていない。
ワンチェン・ノルブはカンツァ郷カンツァ村第一地区の出身。父の名はテンジン、母の名はカンド・ツォ。父はすでに他界している。
なお、カンツァ郷はレゴンの北東約60キロの地点にあり、先代の10世パンチェン・ラマの故郷である。
カンツェ僧院では今月8日、一般市民も大勢参加して、これまでの焼身抗議者に連帯をしめし、ダライ・ラマ法王の長寿を祈るという法要が行われた。この法要にワンチェン・ノルブも参加していた。彼はその法要の最中、多くの年配のチベット人たちが、悲しみのあまり気を失うのを見て、衝撃を受けていたという。
内地焼身抗議者79人目(亡命政府発表77人目)、内死亡確認65人目。内外を合わせた焼身者の数は82人となった。
参照:19日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/wangchen-norbu-self-immolation-11192012143533.html
同英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/third-11192012153515.html
同中文http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/tibet-11192012124629.html
20日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9678-2012-11-20-03-49-28
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)