チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年11月2日
焼身の情報を海外に流したとして2カ所で7人連行
中国当局はチベット人の焼身をテロリストと呼んでおきながら、その情報を広報した者を表彰する変わりに、連行し罰する。
ツゥ(ツォエ)で4人の僧侶
ツゥで連行された4人の内の3人、左より僧ツォンドゥ、ロセル、ロプサン・チュペル
8月7日、2児の母であるドルカル・ツォが、ケンロ、ツゥ僧院の仏塔前で焼身し、死亡した。(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2012-08.html?p=3#20120807)
その数日後、ツゥ、ガンデン・チュリン僧院(དགའ་ལྡན་ཆོས་གླིང་དགོན་པ)の僧ロプサン・チュペル、僧ツォンドゥ、僧ロセル、僧トプデンの4人が当局に連行され数日間拘束され尋問を受けた。彼らは一旦解放されたが、僧ロプサン・チュペルは再度拘束され、今も行方不明のままという。
また、10月13日に同じくツゥ僧院の仏塔前でタムディン・ドルジェが焼身し、死亡したが、(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51765338.html)その翌日、先に解放されていた3人の僧、ツォンドゥ、ロセル、トプテンが再度拘束され行方不明となった。
彼らは4人とも、外国に焼身の情報を流したために連行されたと、地元の人たちは伝える。
参照:11月1日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/monks-arrested-in-tsod-amdo-11012012145056.html
2日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32358&article=Four+monks+arrested+for+sharing+information+on+self-immolations
その他。
ソクで3人
10月26日、カム、ソク県ティド郷にあるディルダ僧院(ཁམས་སོག་རྫོང་ཁྲི་རྡོ་ཤང་། དྲིལ་མདའ་དགོན་པ་)の僧トゥプテン・ネンダ(34)と僧ツェワン(24)及び俗人(僧侶という情報もある)であるプルブ(27)が当局により連行された。
この3人が連行された理由として現地のある人は、「かつてこの僧院に独立を求めるチラシが張り出されたからだ」と言い、ある人は10月25日にすぐ近くのディルで2人の若者が焼身したが(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51767144.html)3人とも焼身したツェポとテンジンの同郷(同村)であるが故に、この「焼身の情報を外国に送ったせいだ」という。
今年6月18日には、去年10月17日にンガバで焼身、死亡した尼僧テンジン・ワンモの写真と情報を外国に伝えたとして、ンガバの僧侶ユンテン・ギャンツォ(37)が7年の刑を受けている。(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51758590.html)
我々の受け取っているチベットからの写真や情報は、このような勇気ある人々の犠牲を伴ったものである。
参照:11月1日付けTibet Netチベット語版http://bod.asia/2012/11/རྒྱ་ནག་གཞུང་གིས་དགེ་འད-2/
1日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9546-2012-11-01-07-02-27
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)