チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年10月22日
<速報>今日、再び焼身・死亡 アムド、サンチュ
ドゥンドゥップ氏とその家族。妻ドルマ・ツォ、養子の息子リクジン・チュペル。
今日、現地時間午前9時40分頃、アムド、サンチュ(甘粛省甘南チベット族自治州夏河県夏河)にあるラプラン・タシキル僧院セルカン・チェンモ(大金堂)近くの路地でドゥンドゥップ(དོན་གྲུབ་)と呼ばれるチベット人男性が中国政府のチベット政策に抗議する焼身を行った。焼身の際、「ダライ・ラマ法王をチベットへ!」と叫んだという。彼は普段ラプラン僧院の回りをコルラしていたという。今回焼身を行った地点もコルラ道の上であった。
駆けつけた部隊が彼を連れ去り、現在、彼の生死は確認されていないという。が、先ほど現地から送られて来た焼身直後の写真を見る限り、黒こげとなっており、その場で死亡したと思われる。ドゥンドゥップ氏の年齢は60歳前後(追記:亡命政府は61歳と発表)と言われる。事件の後、現地への交通網、情報網が遮断され、詳細を知る事が困難な状況である。
2日前に近くのボラで焼身があったばかりだ。今月、すでに5人目。内地焼身者59人目。
今月に入り、甘粛省甘南チベット族自治州における焼身が連続している。
追記:ドゥンドゥップ氏の出身地はサンチュ県ダメ郷上ナムラ地区ホルカキャ村(བསང་ཆུ་རྫོང་གནམ་ལྷ་གོང་མའི་ཧོར་ཁ་གྱ་སྡེ་བ་)。
追記:後に入った情報によれば、ドゥンドゥップ氏が部隊により運び去られるのをコルラするチベット人と僧侶が阻止し、直ぐに僧院付属の病院い担ぎ込んだ。しかし、その時点ですでに死亡していたという。現在遺体はラプラン僧院に安置され法要が営まれている。
内地焼身死亡確認者49人目(亡命政府発表47人目)。
亡命政府は彼の名前をカキェー・ドゥンドゥップ(ཁ་གྱའི་དོན་གྲུབ་カキャ村のドゥンドゥップ)と表記。妻の名はドルマ・ツォ、養子の息子が1人いる。
参照:22日付けTibet Timesチベット語版:上の写真以外の焼身中(直後)の写真あり<閲覧注意>http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6783
22日付けTibet Expressチベット語版 その他。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)