チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年10月11日
続・グドゥプの遺書
RFAやVOTによれば、今月4日にナクチュでグドゥプが焼身、死亡した後、当局は彼の弟を含む親族3人を拘束、今も彼らの行方は不明のままという。また、彼が運び込まれた病院に向かった友人や知り合い等、約30人もそのまま行方不明となった。当局は情報が外部に漏れることを恐れ彼らを拘束し続けていると思われる。
また、彼の地元であるディル県には大勢の部隊が出動し、僧院を中心に再教育等の嫌がらせが始まっている。しかし、ディルに通じる全ての国道は閉鎖され、電話やネットも遮断された状態が続いており、情報を得る事が非常に難しくなっているという。
参照:10日付RFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/immolation-gudup-nakchu-10102012151546.html
VOT9日放送分http://www.vot.org/?page_id=24
続・グドゥプの遺書
当ブログでは彼が焼身した4日のブログhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51764224.htmlと6日のブログhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51764497.htmlにおいて、彼の遺書2通をすでに翻訳紹介した。最近彼が残した遺書はこの2通だけではなく、この他に3通あると発表された。以下、残り3通の訳。
ダラムサラ地区TWA,SFT,TYCが連署で発表したグドゥプの遺書5通の原文
世の人々は富と権力、親愛と名声を得ることが幸せの基と思い、このために争い、利己的目的のみを追いかける。これら全てを遠く捨て去り、遥かなる目的のために進むも、何も獲得できず、蒼穹空々、大地漠々、光射さぬ闇と深淵に吹き荒ぶ強風に曝され、我が心の底に燃え続ける希望という炎により我が身は灰と化すか。しかし、火、水、風や荒々しい武器により我が身が粉々になろうとも、後悔せず、悲しみの叫びを決して上げないということが私の誓いである。
We Chatの中に
1. 最後の祈り:チベットには完全な独立が必要だ。中国人はチベットから出るべきだ。ダライ・ラマ法王をチベットにお招きすべきだ。内外のチベット人が再会できる時まで、中国政府がいくら弾圧しようとも、我々は抗議を続ける。
2. 民族のために真実を訴える。自由のために我が身を捧げる。
友人に贈る手紙
今日まで、貴殿が示して下さった愛情に支えられ、私が心身ともに健康で過ごせたことに対し、感謝の意を伝えたい。今後、私の行動について、ある者は毒の泡を撒き、またある者は賞賛の太鼓を打つかも知れない。悲しみの涙を流す者もいれば、讃える歌を歌う者もいるかも知れない。何れにせよ、私の目的の是非に関し、心開けた知識人たちが考察することを望む。 友人プンツォク氏へ グドゥプより
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)