チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年10月6日

4日焼身のグドゥップ2つ目の遺書「命により打ち鳴らされし国家(チベット)の太鼓の音」

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_DSC3645この遺書の中でグドゥップは、法王の譲歩に耳傾けず、弾圧を強めるばかりの中国を非難し、隠されたチベットの真実を明らかにするために、非暴力の闘いの究極の方法として、焼身することを表明している。また、同胞たちには団結し、「智慧の弓を引き、命の矢を放ち、真実の闘い」を継続することを求めている。

遺書は「命により打ち鳴らされし国家(チベット)の太鼓の音」と題され、命を賭け焼身することにより、チベット人と世界の人々に「目を覚ませ。注目せよ。勇気をだせ」と訴えているものと思われる。

今回、遺書として発表されたこの文章の日付は今年3月14日(中国側のいう2008年ラサ動乱の日)になっている。早くも3月に焼身の決意を固めていたと思われる。そして、実際焼身に及んだ直前に発表したのであろう。

原文:http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6710

苦楽と業を共にする雪山の人々(チベット人)の目標は、完全な独立を達成し、ダライ・ラマ法王をチベットにお招きすることである。しかし、ダライ・ラマ法王は非暴力による中道路線を提唱され、名実ともなる自治獲得に努力されている。そして、600万チベット人はこの法王のお言葉を頭上に掲げ、長期にわたり希望を共にして来た。

しかし、中国政府はこの提案に興味を示し賛同するどころか、チベット人の福祉を語るだけでもその者を逮捕し、非常な拷問を与え、ダライ・ラマ法王を非難せず、チベットが中国の一部であると認めない者を暗殺したり、失踪させたりする。チベット人の幸福にはまったく興味を保たず、真の現状を隠し続ける。

我々は非暴力の闘いをさらに研ぎすまし、チベットの真の現状を知らしめ、証拠を示すために、自らの身を火に捧げ、チベット独立を叫ぶ。虚空に有られる神々よチベットを照覧あれ、母なる大地よ悲愛とともにチベットを見守られよ。地上にある世界の全てよ真実に注目されよ。

清らかであった雪の国は赤い血に染まり、非情な軍隊により覆われ、絶え間ない弾圧の下にある。しかし、勇敢にして挫ける事のない雪の子供たちは、智慧の弓を引き、命の矢を放ち、真実の闘いに勝利するであろう。

最後に、雪山の同胞たちよ、平等と自由の権利を享受するために、チベット全体の目的を主とし、個人的な利害を捨て、団結を強めて頂きたい。これが私の願いだ。

ディルの人グドゥップ
2012年3月14日

*2009年以降、焼身したチベット人59人(内地56人、外地3人)のリスト:10月6日更新分
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51757842.html

*遺書更新分
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51754005.html

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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