チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年10月4日
<速報>止まぬ焼身抗議 内外合わせ58人目
その他写真(焼身中のものも。ウーセル・ブログ)>http://woeser.middle-way.net/2012/10/43.html
チベット自治区ナクチュ(ནག་ཆུ་那曲)の街中で今日(10月4日)現地時間午前10時頃、ディル(འབྲི་རུ་ビル、比如県)出身の作家グドゥップ(དགུ་འགྲུབ་43)が中国政府に抗議する焼身を行い、その場で死亡。遺体は警官が持ち去り、未だ家族に渡されていないという。
目撃者の話によればグドゥップは炎に包まれながら「我々はどこに行こうと自由がない、チベットに自由を!ダライ・ラマ法王のチベット帰還を!」と叫んだ。
彼は焼身の前に遺書と思われる「同胞への愛」と題された短い言葉を中国のインスタントメッセンジャーQQに載せていた。以下その訳
「雪の国チベットの兄弟姉妹よ、過去を振り返れば、喪失、怒り、悲しみ、涙のみで喜びを見いだすことができない。来る水龍の年(来年)には皆さんに健康と成功がもたらされることを重ね重ね祈る。民族の誇りを保ち、喪失や苦しみに直面しても、決して勇気を失わず、団結を強めて頂きたいと強く願う。ディルのグドゥップより」
グドゥップは作家であり、ペンネームはカンキュ・キ・ナション(གངས་ཁྲོད་ཀྱི་ན་གཞོན་)。雑誌や新聞に記事を載せていたいた。彼は常にチベットを守ることに熱心で、特にチベットの歴史に造形が深かったという。
彼は嘗てインドに亡命し、ダラムサラのソガスクールで学んだ事がある。2005年に帰郷したが一時刑務所に収監されていた。
これで内地焼身抗議者の数は55人(亡命政府発表53人)になった。2009年以降内外合わせて58人。
参照:4日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9343-2012-10-04-10-49-33
4日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=32234&article=Breaking%3a+Tibetan+man+dies+in+self-immolation+protest%2c+Leaves+message+of+pride+and+unity
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)