チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年10月2日
焼身に関わった、外国に情報を流したとして4人に7~11年の刑
ダラムサラ・キルティ僧院は10月1日のリリースにおいて、長期に渡る失踪の後、9月中に刑を受けた3人の僧侶と1人の俗人に関する情報を伝えた。4人とも不正な裁判により長期の刑を言い渡されている。
友人の焼身に関わったとして
ンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・ツルティム(བློ་བཟང་ཚུལ་ཁྲིམས།19)に11年の刑、同じくンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・ジャンジュップ(བློ་བཟང་བྱང་ཆུབ། 17)に8年の刑が9月末に言い渡された。2人は今年3月末に僧院の中から警官により連行された後、5ヶ月間全く消息が途絶えていた。9月始めに裁判が行われた時にも家族には一切連絡が来なかった。ロプサン・ジャンジュップは懲役刑を受ける年齢に達していないにも関わらず、重い刑を受けている。
罪状は明らかになっていないが、連行された時点での情報によれば、2人は今年3月10日にンガバで焼身抗議を行い死亡した同僧院僧侶ゲペ(18)http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51734592.htmlの親しい友人であったことから、彼の焼身に関係したとして何らかの罪を着せられたのではないかと推察されている。どこの裁判所で裁判が行われたのか、現在どこにいるのか、未だ不明。
僧ロプサン・ツルティムはンガバ県チュゼマ郷ソルマ村ザンパ家、父タコの息子(རྔ་པ་རྫོང་ཆོས་རྗེ་མ་ཞང་སོ་རུ་མ་སྡེ་བའི་ཛམ་པ་ཚང་ཕ་མིང་ལ་བཀྲ་ཁོ་)。
僧ロプサン・ジャンジュップはンガバ県チャ郷ナクツァンマ村リンチェンペル家の息子(རྔ་པ་རྫོང་གཅའ་ཞང་ནག་ཚང་མའི་རིན་ཆེན་དཔལ་ཚང་)。
外国に情報を流したとして
ンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・タシ(བློ་བཟང་བཀྲ་ཤིས།26)に7年の刑、俗人トゥプドル(ཐུབ་རྡོར། 25)に7年半の刑が9月18日、ンガバ州バルカム県の人民中級法院により言い渡された。2人は去年の11月中に警官により連行された後、10ヶ月間、行方不明のままであった。
去年彼らは成都の秘密警察により連行されたという。また、罪状も外国勢力と連絡を取り、内地の情報を流したというものであった。2人の家族には裁判が開かれる2日前に裁判があるからバルカムに来いと連絡が来た。家族は弁護士を雇おうにも時間がなく、何もできなかった。判決後、家族は数分間だけ面会が許されたという。
僧ロプサン・タシはンガバ県ロンカルサル郷第二地区クネ家、母チョクゾマの息子(རྔ་པ་རྫོང་རོང་མཁར་སར་ཞང་རུ་ཆེན་གཉིས་པའི་ཀུ་ནེ་ཚང། མ་མིང་སྩོགས་ཇོ་མ། )。
トゥプドルはンガバ県ロンコクポ郷チャダ村バクチュン家、母ツェリン・ツォの息子(རྔ་པ་རྫོང་རོང་ཁོག་པོ་ཤང་གཅའ་མདའ་སྡེ་བའི་འབག་ཆུང་ཚང། མ་མིང་ལ་ཚེ་རིང་མཚོ།) 。現在2人は四川省のメンヤン刑務所に収監されている。
参照:10月1日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/few-tibetan-sentenced-in-amdo-ngawa-10012012112801.html
同英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/jailed-10012012164245.html
1日付Tibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6699
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)