チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年9月30日
<速報>ザトゥで新たな焼身
RFAとTibet Expressによれば、昨日29日、現地時間午後7時頃、カム、ジェクンド(ユシュ、ケグド、玉樹)州ティンドゥ県ザトゥの街中でチベット服を着た1人の男性が焼身抗議を行った。焼身後警官が連れ去り、未だ生死、氏名、年齢その他の詳細は明らかになっていない。(追記:焼身したのはユンドゥン、27歳、出身地はチベット自治区チャムド、カルマ郷と判明。30日の朝すでに死亡したとの情報も入ったが、未確認)
彼は焼身の前(或は焼身中)に様々なスローガンを叫んだという。まず、「チベットに独立を!」と大声で叫んだ後、火を放ち、「ダライ・ラマ法王とギャワ・カルマパ尊師をチベットに招くべきだ!チベットには自由が必要だ!ダライ・ラマ法王に長寿を!ロプサン・センゲ博士はチベット人の指導者だ!鉱山開発を中止せよ!」等と叫びながら街の商店の前に来た。店の人たちは彼に水を掛けるなどして火を消そうとしたが、火の勢いは強く、腸が飛び出していたという。その腸を彼は自分の手で引きちぎろうとした、とも伝えられる。
地区では数日前から「幸福に暮らすチベット人」をテーマとするプロパガンダ映画の撮影が始まっていた。当局はこの映画のためにチベット人を強制的に集めようとしていたが、地区のチベット人たちはこれに強く反発し、参加しない意思を表明していたという。彼の焼身もこの事情と関係があると思われている。
ザトゥでは今年6月20日に元シルカル僧院僧侶テンジン・ケドゥップとガワン・ノルペルが一緒に焼身している。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2012-06.html#20120620l
また、同じティンドゥ県のラプ郷では2月8日にソナム・ラプヤンが焼身している。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51729238.html
これで内地焼身者の数は54人(亡命政府に従えば52人)。
焼身者リスト(本日更新分)>>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51757842.html
参照:29日付けRFA中文版http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/q-09292012175246.html
30日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9323-2012-09-29-17-27-52
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)