チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年9月18日
焼身に関わったとして10人に懲役刑
今年2月27日にアムド、テムチェン・ゾン(海西モンゴル族チベット族自治州天峻県)ボンタク僧院(བོང་སྟག་དགོན་པ་)僧侶ダムチュ・サンポ(དམ་ཆོས་བཟང་པོ་38)が焼身抗議を行い死亡した。詳しくは過去ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51730483.html。この後、同僧院の多くの僧侶が拘束され、裁判にかけられた。ブログ>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51749128.html
7月初めには3人の僧侶に9~11年の刑が言い渡された。http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51753527.html
そして、昨日さらに9人の僧侶と1人の俗人に1年から10年の刑が確定したという報告が入った。一部重複している情報もあると思われるが、それにしても1人の焼身によりこれほど多くの僧侶たちに長期の刑が言い渡された例は他にない。
焼身事件の後、当局はボンタク僧院に対し厳しい弾圧を行った結果、現在僧院はほとんど機能せず、空っぽの状態と化しているという。
7月の時点で「10人の僧侶が依然テムチェン当局により拘束されている。県の警官は『彼らが還俗するなら解放してやる』と言ってる」という情報が入っていたが、今回刑を受けた僧侶は還俗を拒否したこれらの僧侶であったと思われる。
ダムチュという俗人は僧侶たちの解放を訴える署名活動を行い逮捕された人である。
中国当局は(罪ではない)焼身を唆したとか共謀したとかいう罪をこれらの僧侶たちに被せるが、その原因は明らかに中国のチベット人弾圧であるので、「唆した」という罪があるならば、それは本来中国当局に帰せられるべきものだ。
今回刑期を受けた10人の内6人+1人の写真(追記:この内、上段中央のコンチョック・ダルギェはリストに含まれていない。前回のブログhttp://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51749128.htmlで報告した「刑期依然不明」と言われるコンチョック・ダルギェと思われる)
以下、今回刑期が判明した10人の氏名と刑期:
僧ジャミヤン・ウーセル(འཇམ་དབྱངས་འོད་ཟེར་23)懲役3年
僧ケルサン・ジャンセム(སྐལ་བཟང་བྱང་སེམས་42)懲役8年
僧ケドゥップ・ギャンツォ(མཁས་གྲུབ་རྒྱ་མཚོ་51)懲役10年
僧サンゲ・ギャンツォ(སངས་རྒྱས་རྒྱ་མཚོར་41)懲役9年
僧コンチョク・ギャンツォ(དཀོན་མཆོག་རྒྱ་མཚོ་46)懲役1年9ヶ月
僧ダムチュ・ツゥルティム(དམ་ཆོས་ཚུལ་ཁྲིམས་40)懲役2年半
僧ケルサン・ダクパ(སྐལ་བཟང་གྲགས་པ་37)懲役1年
僧シェラップ・ギャンツォ(ཤེས་རབ་རྒྱ་མཚོ་31)懲役1年半
僧ダルギェ・ギャンツォ(དར་རྒྱས་རྒྱ་མཚོ་29)懲役2年
俗人ダムチュ(དམ་ཆོས་40)懲役2年
参照:18日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9255-2012-09-18-09-04-30
17日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/amdo-stringer/china-sentenced-9-tibetan-monks-from-bongtak-monastery-09172012112650.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)