チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年9月9日
ザチュカで校庭に雪山獅子旗/ゴロで鉱山開発抗議
9月7日の夜、カム、カンゼ州ザチュカ(རྫ་ཆུ་ཁ་ セルシュ 石渠)県ウォンボ(温波དབོན་པོ་)郷の街中にある学校の校庭に掲げられていた中国国旗が引き下ろされ、代わりに手描きのチベットの国旗である雪山獅子旗が掲げられた。また、辺りには赤いインクで「チベット自由བོད་རང་དབང」と書かれた紙切れが撒かれていた。
翌朝、郷の役人と警官が現場に来てチベットの国旗を下し中国国旗を上げ、紙切れを回収し。警察が捜査を始めた。今のところこの件で拘束者はでていない。
このウォンボ郷では今年2月4日にも同様の事件があった。この時は近くのウォンボ僧院と学校の生徒全員の筆跡が取られ、僧院には数百人の部隊が押しかけたという。この時、実行者は同定されなかった。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51728552.html
参照:9月9日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6581
9日RFA放送
8月29日の水曜日、アムド、ゴロ州ラギャ僧院(རྭ་རྒྱ་དགོན་པ་)近くの聖山で鉱山開発が行われようとしたが、これに対し、地元の住民が道を塞ぎ抗議デモを行った。
ラギャ僧院近くのチュワ村にセムルン(སེམས་ལུང་)と呼ばれる聖山があるが、8月29日、ここで鉱山開発を始めるために地区の役人、技師たちが現場に向かおうとしていた。
これを阻止するために地元のチベット人たちは山に入る三叉路にテントを張り、中国憲法第44条に書かれてある「環境保護」に関する規定等を横断幕上に書き、彼らの侵入を阻止した。さらに、何人かが鉱山開発を止めるよう要請する書面を持って郷と県の役所に向かった。
これを見て、役人たちは、彼らの写真を撮っただけで、引き返したという。今のところ部隊を派遣したという情報は入っていない。
参照:9月3日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?cat=3&&id=6557
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)