チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2012年9月8日

カンゼ・少女に3年の刑/ゴンジョ・僧70人拘束/マルカム・弾圧続く/ジェクンド・女性商人拘束

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昨日、今日亡命側に伝わった内地ニュース4つを報告する。

1068cc13カンゼで1人デモを行った少女に3年の刑

今年6月24日にカム、カンゼの街中で1人デモを行った17歳の少女ジグメ・ドルマ(འཇིཊ་མེད་སྒྲོལ་མ་ 詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51751795.html)に8月25日、カンゼ中級人民法院が3年の刑を言い渡した。

gril-from-karze-305彼女は逮捕の際、保安部隊に暴力を受け一時病院に収容されていた。父親が面会できたのはその時だけだったという。もちろん裁判にも両親は呼ばれなかった。彼女がどの刑務所で服役するのかも知らされていない。カンゼからは遠く離れた中国の刑務所に送られたらしいと噂されている。

カンゼは特に2008年以降、デモがもっとも多く発生している場所である。その多くは1人デモである。
8月1日には僧クンチョック・ヤーペル(22)が近くのセルタで1人デモを行い逮捕されている。(詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2012-08.html?p=3#20120802
7月4日にはカンゼの政府庁舎の前でケルサン・テンジンという若者が法王帰還と政治犯解放を訴えるデモを行い逮捕されている。

参照:7日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/jailed-09072012134420.html
7日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9171-2012-09-07-09-39-46

チャムド、ゴンジョ県で僧侶70人拘束

8月30日、チベット自治区チャムド地区ゴンジョ(貢覚)県にあるニンマ派ばかりの4つの僧院から計70人の僧侶が当局により強制連行された。連行の理由は明らかにされていない。当局はこれを拘束とか逮捕と呼ばず「僧侶たちは15日間の法律に関する教育を受ける事になっている」と説明したという。

チャムド地区では今月に入り、僧侶、尼僧に対する厳しい移動規制が行われている。

参照:6日付けdossiertibethttp://www.dossiertibet.it/news/tibet-protests-and-unrest-chamdo-region
VOT6日放送分

chamdo-305マルカムで鉱山開発に反対するチベット人に対する弾圧続く

チベット自治区チャムド地区マルカム(芒康)県チュテン郷(ཆབ་མདོ་སྨར་ཁམས་རྫོང་མཆོད་རྟེན་ཤང་)の住民千人ほどが8月15日に地区の鉱山開発に反対するデモを行った、ということは当ブログですでにお知らせした>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51758090.html

この際、部隊が抗議を行うチベット人たちに発砲し1人が死亡している。6人が連行されたと先にお伝えしたが、実際には9人が連行されたという。当局は住民に対しこの鉱山開発を認めるという書類にサインすることを強要している。サインを拒否したチベット人12人が新たに連行された。また、これを拒否したものには激しい暴力が加えられ、現在までに分かっているだけで2人のチベット人が足を折られたという。

当局は「この鉱山開発は政府が主導するものであり、これに反対することは違法である」と言っているそうだ。

参照:7日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/amdolaytsen/amdo-stringer/chinese-police-killed-one-tibetan-in-markham-tibet-09072012122616.html

ジェクンドでラカル運動に熱心な女性商人拘束

8月5日、ラカルの日に地区で有名な商家の娘が突然連行された。このスヤ(བསོད་ཡག་)という40歳の女性は地区で有名な商人ナムセ・ラキャップ(རྣམ་སྲས་ལྷ་སྐྱབས་)の娘であり、自身も手広く商売を行っていた。また、彼女は普段からチベット問題に感心が高く、ラカル運動の推進者でもあった。最近、地区で天珠、珊瑚、冬虫夏草等を扱う商人が集まり、法王の誕生曜日である水曜日には必ずチベット服を着ることを取り決めていたという。

今週の水曜日(8月5日)、彼女は街でチベット服を着ていないチベット人数人にチベット服を着るよう注意した。そして、その日の夕方ヤクタンチェン(གཡག་ཐང་ཆེན་)という場所で突然警官に連行されたという。

参照:8日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6579

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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