チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年9月5日
中国国防相インド訪問>無期限ハンストの3人、他30人のチベット人拘束
コンノートプレースの警察署に拘置された無期限ハンスト中の3人。
チベット問題への国連介入を要求する再度の無期限ハンストがTYC(チベット青年会議)主催で9月2日からニューデリーで行われている。この参加者3人が中国国防相訪問の邪魔になるとして、デリー警察により拘束された。また、彼の訪問に抗議した30人のチベット人もインド門付近で拘束された。2日には中国大使館前で抗議デモを行ったSFTのメンバー3人も拘束されている。
中国の国防相梁 光烈は昨日インド首相マンモハン・シンと会談、2年ぶりの共同軍事訓練実施を決定している。
3人のハンスト参加者と30人の抗議者は昨夜コンノートプレースの警察署に留置され、その後ティハール刑務所に送られた。
昨日の夜遅く、デリー警察はTYCに対し、ジャンタール・マンタールに設置されたハンスト用のテントを撤去するよう命令した。命令に従わない場合は強制的に壊すという。
前々日、中国国防相の訪問に関わる保安上の処置として3人が連行された時には、警察はこれは一時的処置でありハンストは続けてもよいと発表していた。
抗議デモを行い拘束され、護送車に乗せられたチベット人たち。
前々日の夜、拘置された3人は昨日の朝7時に解放された。しかし、1時間後に再度連行され、正午過ぎに解放された。そして、再び昨日の夕方連行されたのだった。
「このような事態に関わらず、3人のハンスト実行者、ドゥンドゥップ・ラダル(TYC副議長)、ペンパ・ツェリン(組織部秘書)、ジグメ・ソパ(文化部秘書)は拘置所においても一切食べ物を取らずハンストを続けている」とTYC。
また、「これまで、TYCは常に非暴力の抗議活動を行って来た。今回のハンストに対しインド警察がこのような態度に出た事を非常に残念に思っている」とコメントする。
TYCは今回の無期限ハンストにより、EU、国連、各政府、関係NGOが前回のハンストの時、相互理解の下に約束したチベット問題に対する介入実行を求めている。また、中国政府に対してはチベットの現状を調査するための各政府、国際機関、メディアによるチベット視察を許可するよう要求している。
参照:TYC公式サイトhttp://tibetanyouthcongress.org
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)