チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年9月5日
「真理のトーチリレー」世界バージョン開始
7月6日、法王誕生日に始まったインド編はまだ継続中。世界編が9月2日、「チベット民主主義記念日」に世界各地で始まった。5大陸30カ国を巡るというこのリレーだが、9月2日に始まったのは、北米編がアメリカのワシントンDCとカナダのオタワから、オセアニア編がオーストラリアのキャンベラから、ヨーロッパ編がスペインのバルセロナから、ロシア編がモスクワから(ここだけ8月8日に始まってた)、アフリカ編が南アフリカのどこか分からないが始まり、我らのアジア編は台湾の台北から始まった。
アメリカの開始式典には議会議員も参加し、ハリウーやラビア・カディア女史も参加した。
ロシア編はモスクワの後、ブリヤート、カルミック、トゥバにも行って移動距離が半端なく豪快。
ヨーロッパ編はバルセロナを特別仕様の車で出発、ヨーロッパ17カ国を回るそうだ。
台湾から始まったアジア編、台湾ではバイク10台ほどで回ると。次が日本なのか、韓国なのか不明。
日本編は表面下で準備が進められているらしい。
で、世界人権デーである12月10日にニューヨークの国連本部を最終目的地とし、リレー中にインドや世界中で集めた署名とともに、チベット問題への介入を要請する嘆願書を国連に手渡す予定。
このトーチリレーの趣旨、要求事項等詳しいことは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51752200.html
オンライン署名は>http://www.thepetitionsite.com/takeaction/198/920/082/ 現在5324名がオンラインで署名済み。
国連への要求事項の内:
1. 国連は、1959年、1961年、1965年に採択された決議に基づきチベット問題について再度話会い、それらの議決に含まれる内容が実行されるよう引き続き努力すること。
とある。1959年、61年、65年に採択された決議とは以下:
(注:Asano TamamiさんのFBからお借りしたもの。原文、翻訳者不明でチェックできず)
国連総会決議1353
1959年 ニューヨーク
国連総会は、
国連憲章および1948年12月10日の総会で採択された世界人権宣言に謳われた基本的人権と自由に関する原則を想起し、他の人民同様、チベット民族にも認められた平等な世俗的・宗教的自由権を含む基本的人権および自由を考慮し、チベット民族独自の文化および宗教の伝統、そして因習的に彼らが享受してきた自治の存在を忘れず、チベット民族の基本的人権と自由が侵害されてきたという趣旨の、ダライ・ラマ法王の公式声明を含む報告の内容を深く懸念し、信頼できる指導者らが国際社会の緊張緩和と国際関係向上を目指して真剣に前向きな努力をする一方、緊張を高め人民間関係を悪化させる動きがあることを遺憾に思い、
1)法の支配に基づく平和的世界秩序のためには国連憲章および世界人権宣言の原則を尊重することが不可欠であることを再確認し、
2)チベット民族の基本的人権とその特有の文化および宗教生活を尊重することを要請する。国連総会議決議1723
1961年 ニューヨーク
国連総会は、
1959年10月21日に採択された総会決議1353のチベットに関する質疑を想起し、
チベット民族の基本的人権が侵害され、チベット古来の特有の文化および宗教が抑圧されるなどの行為がチベット内部で継続的に行われていることを深く懸念し、それらの行為によって、チベット難民の近隣諸国への大規模流出に証明される厳しい状況にチベットの人々がおかれている状況を、深い懸念とともに指摘する。それらの行為が、国連憲章および世界人権宣言に謳われた民族決議主義を含む基本的人権と自由を侵害し、国際的な緊張を高め、人民間関係を悪化させる憂慮すべき影響力をもっていることを考慮し、
1) 法の支配に基づく平和的世界秩序のためには国連憲章および世界人権宣言の原則への信念が不可欠であることを再確認し、
2) チベット民族の基本的人権と自由を奪う行為を止めることを厳粛に再要請する。
3) 加盟国が本決議の目的達成のため、必要に応じて最善の努力をすることを希望する。国連総会決議2079
1965年 ニューヨーク
「総会は、国連連合憲章に規定され、世界人権宣言に宣命された人権と基本的自由に関する諸原則を銘記し、チベット問題に関する1959年10月21日の総会決議1353及び1961年12月20日の総会決議1723を再確認し、チベット難民の隣接諸国への大規模流出によって証明されているように、チベット人民の基本的な権利と自由の継続的侵害及びチベット民族独自の文化的及び宗教的生活の継続的抑圧に重大な関心をよせ、
1. チベット民族の基本的権利及び自由を継続的に侵害していることを非難し、
2. 国際連合憲章及び世界人権宣言の諸原則の尊重が法の支配に基づく世界秩序の進展に不可欠であるとの確信を再確認し、
3. チベットにおける人権と基本的自由の侵害ならびにチベット民族の独自の文化的及び宗教的生活の抑圧は、国際の緊張を増加し、かつ人民の関係を悪化させるとの信念を宣言し、
4. チベット民族が常に享受している人権と基本的自由を剥奪するあらゆる行為を停止するようにとの要請を厳粛に行い、
5. 全ての国に対し、本会議の目的を達成するために、最善の努力を払うよう訴える」
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)