チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月26日
僧侶、俗人の拘束、行方不明が続く
ンガバで2人
24日付けダラムサラ・キルティ僧院リリースによれば、8月14日前後にンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・サンゲ(བློ་བཟང་སངས་རྒྱས་30)が、8月17日に僧侶ロプサン・クンチョク(བློ་བཟང་དཀོན་མཆོག་40)が公安により連行され、今も行方不明。拘束の理由も不明。
僧ロプサン・サンゲはンガバ州チクディル県カンサルマ郷の出身。僧ロプサン・クンチョクはンガバ県チャ郷の出身。
僧ロプサン・クンチョック
さらに、8月16日前後に、同僧院の僧サンドゥと僧ロプサン・テンジンが連行された。彼らは1週間に渡り厳しい尋問を受けた後、解放された。僧ロプサン・テンジンは1998年に逮捕され3年の刑を受けている。2008年にも1ヶ月間拘留されている。
参考:25日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6503
25日付けTCHRDリリースhttp://www.tchrd.org/index.php?option=com_content&view=article&id=276:china-detains-more-monks-in-ngaba-county&catid=70:2012-news&Itemid=162
セルタで1人
また、24日付けTibet Expressチベット語版http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/9053-2012-08-24-11-02-30
によれば、8月12日、カム、カンゼ・チベット族自治州セルタ県ヤールン郷出身のツェキャップ(ཚེ་སྐྱབས་34)がバルカムからセルタに向かう途中で逮捕された。
ツェキャップ
逮捕の理由は、今年ロサを祝わないという運動に加わり、秘密情報を外部に漏らし、普段より政治的活動を行っていたという嫌疑によると伝えられる。
彼には2人の子供がいる。普段、縫製の仕事やレストランの仕事をしていたという。
バゾンで1人
23日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6491によれば、当局は最近、アムド、バゾン(འབའ་རྫོང་又はゲパスンド、青海省海南チベット族自治州同徳県)で商業を営んでいるツェリン・ワンギェル(ཚེ་རིང་དབང་རྒྱལ་)を拘束。彼は今年3月、デモに加わったとして数日間拘束され後、解放されていた。再び連行された後、行方不明となっている。
サンチュで僧侶が1人
最近チベットからインドに亡命したチベット人がTibet Timesに伝えたところによると、アムド、サンチュ県(甘粛省甘南チベット族自治州夏河県)ゲンキャ郷にあるダクカル僧院の僧侶ゲンドゥン・ギャンツォ(དགེ་འདུན་རྒྱ་མཚོ་43)が去年7月、僧院から突然、警官により連行された後、行方不明のままという。
彼は1989年、インドに亡命し数年間南インドの僧院で勉強した。その後1992年に故郷に帰ったが、その時数日間警察に拘束され、尋問を受けた。また、2011年1月にはアメリカから来た友人と会った後、拘束、手錠をはめられ、拷問を伴った激しい尋問を受けた。そして、去年再び拘束され、その後家族が探し続けるも行方不明のままという。
彼は僧院で、指導的地位にあった。
参照:24日付Tibet Times チベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6498
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)