チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月24日
ラサは巨大な監獄の如し
最近ラサからRFAに寄せられた報告。とはいえ、必ずしもラサからとは限らないかもしれない。ラサから離れて電話するという人もいるからだ。
ラサの街には、新たに空港にあるようようなボディスキャナーが設置され、ラサに外国から電話が入ると自動的に録音されるシステムが導入されたそうだ。
以下報告者の言葉を幾つかそのままお知らせする。ラサでの焼身後、アパルトヘイト政策が強化されたようだ。
ある女性:「ラサの街は大きな刑務所と化した。10人かそれ以上で隊列を組んだ警官がライフル、こん棒、消火器を持って至る所を巡回する」
「ジョカンを巡るパルコルの近くにはチェックポストがある。チェックポストには新たにボディスキャナーが設置されチベット人は誰でもチェックされる。ボディスキャナーはジョカンの周りだけでなくポタラの周りにもある」
2人目の人:「よそ者はラサに入る事が拒否される。でも、これはチベット人だけで、中国人はいつでもどこでもフリーパスだ」
「ラサ近郊の村にいるチベット人たちでさえラサには入れない。彼らはクル橋で止められる。被害を被るのはチベット人だ」
「カムやアムドから来たチベット人も特別の居住許可証を見せない限り、ラサから追い出される」
「ラサは中国人で溢れている。彼らと言い争うことはできない。差別の下で不満は爆発寸前まで溜まっている。もしも、中国人と喧嘩したら、必ずチベット人が罰せられる。中国人と言い争えば、すぐに『分裂主義者の政治的発言だ』と言われる」
「我々チベット人は弁護士になれない。中国人の弁護士はチベット人を擁護することを恐れる」
3人目の人:「今、ラサとその周りは本当に巨大な監獄のようなものだ。自分たちは何もできない」
「もしも、家族の誰かが外国にいてその人がラサの家族に電話したとする。すると、警察の中にあるモニターステーションの赤いランプが点灯する。そして会話は録音される」
もっとも、Yaoという中国人の移住労働者は「自分たちだって特にジョカン付近に行く時にはスキャンされたり、身分証をチェックされたりする」と言ってるそうだ。
今月はデブンのショトゥン祭があるので特別厳しいのかというと、そうではないという。
4人目の人:「この数日だけ厳しいという訳じゃない。いつもこうだ。とても厳しいがここじゃいつものことだ。慣れるしかないよ」
「道でグループになることは許されない。中国人と争うことも許されない。チェック、チェック、チェック、、、みんあチェックされる。バルコルの近くじゃ機械でチェックされる」と。
参照:23日付RFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/prison-08232012122203.html
同チベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/lhasa-08232012151254.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)