チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月21日
またもや法王と亡命政府首相を讃える歌を歌ったとしてチベット人歌手拘束
RFA他によれば、ダライ・ラマ法王と亡命政府首相ロプサン・センゲ氏を讃える歌を歌ったとして追われ、山に逃げていたとされるチベットの人気歌手プルジュンཕུལ་བྱུང་が8月3日、ンガバ州バルカムの飲食店で突然逮捕された。
ンガバ州マルタン(又はキュンチュ)県アチョック地区(རྔ་བ་ཁུལ་དམར་ཐང་ངམ་ཁྱུང་ཆུ་རྫོང་ཨ་མཆོག་སྡེ་བ་)出身のプルジュンは遊牧民の家に生まれた。中国の産児制限により強制堕胎の対象となった。しかし、手術は失敗し、その結果左手の指4本が欠け、足にも障害を負った子供として生まれた。
彼は幼少時より特別に美しい声を持ち、草原に響き渡るその歌声は周りの人々の心を癒したという。中学校を終えた後、歌手となり、これまでに5枚のアルバムを発表している。中国の弾圧を恐れず、勇敢に法王を讃える歌等を歌って来たので人々は彼を「愛国歌手༼ལ་རྒྱའི་གླུ་བ༽」と呼び、遊牧民中心に人気が高かったという。
最近発表したアルバムの中で彼は「黄金の玉座に座るこころ優しきダライ・ラマ法王。法王に会いに行こう。銀の玉座に座る我らの首相ロプサン・センゲ、」と歌っている。
当局は彼を危険な分裂主義者と見なし、5月中頃より彼の行方を追っていた。
参照:20日付けRFAチベット語版http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/amdo-singer-phulshung-arrested-by-chinese-police-08202012155104.html
5月22日付けTibet Posthttp://www.thetibetpost.com/en/news/tibet/2550-tibetan-singer-phul-chong-in-hiding-
20日付けVOAチベット語版http://www.voatibetan.com/content/china-continues-crack-down-on-tibetan-singers-/1491784.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)