チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月20日
拷問の結果重体となり監獄から2人の僧侶が出される
最近ヒマラヤを越えダラムサラに辿り着いた子供が一時収容所で描いた絵
中国の監獄ではチベットの政治犯はほぼ全員激しい拷問を受ける。これは解放された人々の証言から明らかなことである。拷問の結果、重体に陥り死にそうになったり、面倒になると解放されると言う事も多い。監獄で死なれると管理者の責任問題となることがあるからだ。実際解放された後、すぐに死亡するというケースも多数報告されている。
RFAが伝えるところによれば、最近また2人の僧侶が重体となり解放されたという。2008年、カム、デルゲ(སྡེ་དགེ་四川省カンゼチベット族自治州徳格)ゴンサル僧院(དགོན་གསར་དགོན་པ་)の僧侶11人が中国政府に対する抗議の政治的チラシを撒き、抗議デモを行ったとして逮捕された。僧侶たちは様々な刑期を受け四川省のメンヤン刑務所等に収監されている。
最近その内の2人が解放された。しかし、その内の1人、僧イシェ・ギャンツォ(ཡེ་ཤེས་རྒྱ་མཚོ་30歳前後)は半身不随となり、精神にも異常をきたしていた。僧院がお金を出し、彼をダルツェンドの病院に送ったが、病状は全く改善されることなく、再び家族の下に返された。
もう1人の僧ジャンパ・ワンチュック(བྱམས་པ་དབང་ཕྱུག་40歳前後)は足と腰等に大きな傷を負っており、非常に衰弱した状態という。
「今、地域のチベット人たちは彼らのために治療費を出し合って助けようとしているが、症状が悪過ぎて病院も何も役に立たない状態だ」と地元のあるチベット人が報告する。
参照:20日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6476
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)