チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月19日
3人の子供を残し焼身、死亡したリキョの遺書が伝わる
昨日(18日)TCHRD(チベット民主人権センター)がそのリリースでリキョの遺書を確かなソースから手に入れたとして、その英訳を添えて発表した。>http://www.tchrd.org/index.php?option=com_content&view=article&id=271:note-left-by-mother-of-three-emerges-months-after-self-immolation&catid=70:2012-news&Itemid=162
3ヶ月近く掛かりやっと亡命側に伝えられた。その中でリキョはダライ・ラマ法王をお迎えできるよう、徳を積み、チベット文化を守ろうと訴えている。
遊牧民であったリキョ(རི་ཀྱོ་)は今年5月30日、午後3時頃、ンガバ州ザムタン県バルマ郷(རྔ་བ་ཁུལ་འཛམ་ཐང་བར་མ་ 四川省アバ・チベット族チャン族自治州壤塘県中壌塘郷)にあるチュナン僧院近くで焼身し、その場で死亡した。遺体は僧院に運ばれ、その日の夜荼毘に付された。葬儀には数千人のチベット人が参列し、翌朝まで読経を続けたという。詳しくは>http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51747569.html
彼女の年齢は最初33歳と発表されていたが、TCHRDは36歳とする。また、3人の子供に付いても当初「9歳の息子、7歳と5歳の娘」と報じられていたが、TCHRDは「長男ロプサン17歳、次男クンガ10歳、長女セムラ14歳」としている。
遺書は地域の訛をそのまま表記したと思われる部分も多く、スペルが間違っている部分も多い。
十分な教育を受ける事が出来なかったのであろう。しかし、その志は高く純粋であったことを知る事ができる。
世界に平和と幸福がもたらされますように
ダライ・ラマ法王がチベットにお戻りになることができるよう
屠殺や肉を売ることを慎もう
盗みをなさず チベット語を話し 争いを止めよう生きとし生けるものすべての苦しみを私は引き受ける
私が生きて中国の手に落ちても争わないでほしい
団結し チベットの文化を学んでほしい
火に我が身を焼く
家族よ苦しまないでほしい
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)