チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年8月15日
レゴンで公安の理不尽な暴力に抗議するデモ
8月13日、アムド、レゴン(レプゴン)、センゲション(ཨ་མདོ་རེབ་གོང་སེང་གེ་གཤོང་ 青海省黄南チベット族自治州同仁県呉屯下荘村)のチベット人4人(ケルサン、コンチョク・ニマ、シャボ・ツェリン、コンチョク・ノルブ)が車で移動中、明らかに酔っぱらった警官(公安)たちが車を止め、尋問を始めた。警官たちの小突いたり、脅迫したりする態度に腹を立て、喧嘩となった。そして、チベット人4人はボコボロにされた。この内の1人は重傷を負ったといわれ、警官が発砲したと伝える人もいる。彼らがその後拘束されたかどうかは不明。
これを知った、センゲションのチベット人たちは、昨日(14日)午後1時頃から警官に対する抗議のデモを始めた。初めは約100人ほどが「公安は市民に暴力を振った」と中国語とチベット語で書かれた横断幕を掲げ、地元の警察署に向かって行進した。デモに参加する人の数はどんどん増え500人に登ったという。警察署を囲い抗議の声を上げたが、この時長老たちが、部隊の出動を恐れ、平和的な抗議に徹するよう要請したという。警官たちは外に出る事を恐れ、建物の中に隠れていたともいう。
その後、彼らは数キロ離れたレゴン市内に向かい、政府庁舎の前で抗議を続けた。今のところ、部隊が出動したとか、拘束者が出たという情報は入っていない。当局は参加者を同定し、後々逮捕する可能性が高い。
レゴンでは2008年に大きなデモが起っている。また、今年3月14日にロンウォ僧院僧侶ジャミヤン・パルデンが、3月17日にソナム・ダルギェが焼身を行い、その後大きな抗議デモが発生している。8月8日にはレゴンから遠くないツォェでドルカル・キが焼身。13日にはンガバでルントックとタシが焼身している。今回のデモの直接の要因は仲間に対する警官たちの理不尽な暴力であったが、根底には政府のチベット政策に対する強い不満や同胞たちの焼身があると思われる。
下のビデオは14日のRFAアムド語放送。上記抗議デモの動画を見る事ができる、同ニュースではその他、アメリカ議会の2人の議員が相次ぐチベット人の焼身を受け、国務長官ヒラリー・クリントンに対し「中国のチベット政策を変えさせるために、もっと具体的な行動をとるべきだ」と要請する手紙を送ったこと、オリンピックでアムド出身のチベット人チュヤン・キが銅メダルをとったことが報じられている。最後の、チベット人たちがチュヤン・キに大きな声で声援をおくるとこがいい。
参照:14日付けRFA英語版http://www.rfa.org/english/news/tibet/brutality-08142012152819.html
同チベット語版http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/ukaylatsen/f42f66f62f0bf60f42fb1f74f62f0bf51f54fb1f51f0bf42f4ff58f0d/rebgong-tibetans-protest-against-chinese-beatings-08142012102254.html
14日付けTibet Timesチベット語版http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=6445
14日付けphayulhttp://www.phayul.com/news/article.aspx?id=31904&article=Fresh+protests+in+Rebkong
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)